資格を取って、ニートから人生一発逆転だ!

そう考える人は、とてもとても多いと思います。実際、ニートが資格を取得すると就職に有利になることもあるし、無いよりは有るほうが良いことは事実です。

ただ、僕はこうも言いたいんですよ。

ニートが資格に逃げるのは、よくない。

そこで、資格を取ってニート脱出を目論んでいる人に、僕から「就職」と「資格」の関係と重要度などについてのアドバイスを贈りたいと思います。

ニートの場合、資格取得がマイナスに作用することもある

ニートでも、資格を取れば就職に有利だとか、資格を取って逆転だとか、言いたいことは凄くわかる。

ただ、資格を取ることが目的となるのは、ダメです。

まず、短期間で簡単に取れるような資格は、取ろうと思えば誰でも取れる。だから、それを取得したとしても「そんなのみんな持ってるよ」「誰でも取れるじゃないか」と、就職に及ぼす影響がほとんど無いケースが多いんです。

じゃあ難しい資格はどう? ということだけど…。

ニートは、難しい資格を取ることで無職期間をいたずらに伸ばすことになりますよね。難易度が高い資格はそれだけ勉強に時間がかかりますし、「講座の受講期間が長い資格」もたくさんあり、取得に1年以上はかかります。

資格で有利になるプラス分と、年単位で無職期間が引き伸ばされるマイナス分とが打ち消し合い、完全なゼロサムゲームです。

それどころか、「難しすぎた」「無理だ」と途中で挫折してしまえば、無職期間が伸びた上に自信喪失し、今よりもっと働くことへの精神的ハードルが高くなりかねません。だから、ニートが就職のために難しい資格を取るのは、リスクのほうが大きいと思います。

だから、ニートは資格を取得することよりも、就職することを優先させましょう。

どちらにせよ、最終目的は「就職」なんですから。

就職活動と資格取得を並行させるのがベスト

一番いいのは、就職先の職種をある程度決めてしまってから、その仕事に活かせる資格を就職活動しながら取得に向けた勉強をすることです。

就職活動が終わるまでに資格を取得できなかったとしても、そのために動いているという事実がアピールポイントになるんです。

ニートが就職活動をするとき、必ず「無職期間中の活動」を聞かれます。それをまったく答えられない人が、面接でバンバン落とされがちなんです。

要は企業側が求めているのは「前向きに行動しているかどうか」「現状を把握して、改善する意志があるか」ということ。

自分の問題点を分析・把握して、ネガティブな面があるのをわかったうえで前向きに行動するということは、社会人に広く求められる資質ですから。それを「資格取得の活動中です」と答えることで、補える。

だから、まずあなたがするべきなのは、就職先の職種を決めること。

それと結びつく資格があれば、それを取得しよう。

たとえば、事務ならMOS(Microsoft Office Specialist)という資格があります。

Word・Excelなどのソフトウェアを、業務レベルまで使えるということを証明する資格です。事務職をしている人の中でも取得していない人が意外と多いので、これを取得しようとするだけで有利になるし、取得後は事務のスペシャリストにもなれます。

また、製造業(化学メーカー)に就職するなら危険物取扱者乙4種の取得に向けて動き出すと有利です。対応業務の幅を増やしたり、待遇を上げたりすることができますよ。

受験資格は特にないので、就職活動をしながら取得に向けて動き出せます。

さらに、危険物取扱者乙4種はガソリンスタンド・石油会社・タンクローリーのドライバーなどの就職にも使えますよ。

ほかにも、仕事によって就職やその後の仕事が有利になる資格がたくさんあります。職種を絞った後に、じっくりと調べてみましょう。

「ニートにおすすめ」と言われている資格が本当に良いのかを検証してみた

ネットで紹介されている「ニートにおすすめの資格」は、無責任にもメリットばかりが書かれていることが多いです。

公平な目で一つ一つ検証していきたいと思います。

1.宅建

ニートにおすすめの資格、ニートに人気の資格として毎回挙がるのが宅建。某大型掲示板でも「現実的に考えれば、とりあえず宅建取っとけ」と言われています。ニートに宅建を勧める人の理由としては、「不動産業界・建設業界・金融業界」で幅広く使える資格ということがまずひとつでしょう。

そして、宅建を持っている人の採用に力を入れる企業があり、採用率が上がるということもありますね。

汎用性が高い資格でありながら、そんなに試験が難しいわけではないというのも魅力的に見えます。勉強時間は人にもよりますが、1日3時間の勉強を毎日続けて3ヶ月から半年くらいで取得可能と言われているんですよね。

だから、人気があるのもわかるんです。

ただ、僕が思うに「宅建は良い資格だけど、ニートにはオススメできない」んですよ。

それはどうしてか?

ニートにはハードルが高い業界の資格だからです…!

不動産業界と金融業界は、ものすごくハードです。特に営業職は毎日数時間の残業をし、厳しすぎるノルマに追われ、人をだましているかのような罪悪感も抱き…。あまりにも心身の負担が大きすぎるんですよ。

それに、不動産業界と金融業界はどちらも「結構高度な知識とビジネスマナーが必要」です。

じゃあ建設業界はどうなのかというと、圧倒的に体力的な負担が大きいし、独特な社風の会社が多い傾向があります。体育会系な社風が多いのは想像しやすいとして、「妙な日和見主義」や「執拗にコミュニケーションを要求してくる」など業界全体変わっているんです。

ニートの社会復帰にいきなりそういう業界を選ぶというのは、少しきついかもしれません。

だから、いくら優れた資格であろうとも、あまり諸手を挙げてオススメはしづらいんですよね。

2.プログラミング関係

プログラミング関係の資格やスキルを得ることのメリットは、「手に職が付く」「需要が高い(今後も増える)」ということだと思うんです。確かに、プログラミングができれば就職先にはあまり困らないでしょう。

各言語の認定試験などのプログラミング技能を証明する資格もたくさんあります。

ただ、プログラマーというのは「なりたい」という意思がないニートにとって厳しい仕事です。

まず、IT業界にはブラック企業がたくさんあります。残業は当たり前のようにあるし、1週間泊まり込みでシャワーを浴びる時間も無いということもあります。

しかも、残業代や休日出勤手当は出ないことが多い!

クライアントからの要求が無茶なケースもあり、ストレスもかかる!

ニートには、不利だと思います。

特に、PCやIT技術に疎い人にはハードルがあまりにも高いです。

ITに興味がある人ならプログラミング技術の習得はとてもとても良いことだと思いますが、そうじゃないなら辞めておいた方が良いのではないでしょうか。

3.公認会計士

たまにニートにオススメの資格に挙げられていますが、難しすぎない?

公認会計士をオススメする理由は、わからなくはない。難関資格と言われるものの中では、誰でも受験できるという公認会計士は、ものすごく貴重な存在です。しかも、社会人経験が無いニートでもこれを持っていれば会計士としてのポテンシャルがあると判断されます。

就職先はほとんど大手監査法人になるという、事実上「就職が保証される資格」と言えるかもしれないというところも魅力的です。

まさに、ニートから人生大逆転できる資格と言えるでしょう。

ただ、あまりに難しすぎる。

公認会計士に必要な勉強時間は、3000時間程度であると言われています。ニートに特に人気のある宅建は短ければ300時間、長くても700時間程度と言われているんです。比較してみると、公認会計士がどれだけ難しいかわかりますよね。

毎日8時間ずつ勉強して、1年かかる。

ニートが、強制されるわけでもなく、自発的に「毎日8時間」を「1年」続けられるでしょうか。サラリーマンは残業が無ければ1日8時間働いているけど、彼らは休日があり、半強制的で働かなければならない状況にある。

それでも、仕事を辞める人が多いわけです。

しかも、1回で取れない可能性もあります。そういう挫折を味わったとき、また同じ勉強時間を費やせるでしょうか。

そして、公認会計士を取得した後の就職先の選択肢が狭すぎるというのもオススメしづらい理由です。

会計士の最初の就職先は、大手監査法人一択と言われています。

ただ、監査法人というのはものすごく狭い世界です。ニートという「多くの社会と接していない人」が狭い世界に飛び込むと、かえって視野が狭くなる危険性があります。そのうえ、キャリアもかなり限定的です。

どうしても会計士になりたいという人だったとしても、そのキャリアを捨てる人が少なくはない。

「人生一発逆転だ!」という気持ちで取るのは、絶対にオススメしません。

4.介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護の仕事をするための資格ですね。

ニートがこれを取得するメリットは、「食いっぱぐれがない資格」「門戸が広い業界の資格」ということだと思います。介護の需要はこれからどんどん膨れていくわけですからね。2030年には、人口の3分の1が高齢者ですし…。

そんな需要が高い仕事なのに、介護職員はどこも不足しています。ニートだろうと、経験が無かろうと関係なく採用される可能性が高いです。

僕も介護職員初任者研修は決して悪くはないと思います。

しかし、介護の仕事は世のニートが想像するよりもハードです。

知り合いの介護士は、自律神経が狂い、睡眠薬をお酒で流し込まないと眠れなくなり、常に疲れた顔をして働いています。足腰がきつく、排泄介助や排泄物の処理などもきつく、職員同士の人間関係もきつい現場が多い。

それだけ大変な想いをしても、介護職員の年収は250~400万円程度です。

「介護の仕事がしたい」「自分の特技をレクリエーションで活かしたい」など、介護業界でないといけない理由が無ければ続く仕事ではありません。

5.簿記2級

簿記2級は、経理事務などで使える資格ですね。

経営管理と経理の基礎知識や、経営に関する分析力の基本を身につけることができます。

しかも、誰でも受験でき、毎年3回試験があり、チャンスが多い。

勉強を怠らなければ、連続で落ちるということはまずありませんし、1発合格も十分狙えます。

それに、事務関係は中途採用求人が比較的少なく、経理は特に少ない傾向があるので、ニートが中途採用市場を戦い抜くためにはあった方が良いことは確かです。

就職活動が長引けば、資格取得のほうが早い可能性もあります。

ここまで紹介した資格の中では、最もニートが取得しやすく、有用であると言えるでしょう。

※ただし、経理の道に進む人に限る。

簿記2級の取得はビジネスの基礎知識を学ぶことにも繋がるんですが、そういうものは入社時の研修などでも学べますし、一般的には「簿記がその証明」とは考えられていません。経理だけの資格という認識ですから。

6.ファイナンシャルプランナー3級

ファイナンシャルプランナー(FP)は、税金・保険・年金などの幅広い「お金に関する知識」を身につけることができる国家資格です。同名の職業としては、個人や法人の収支・負債・資産状況などの情報をもとに、今後の経営プランやライフプランに則したアドバイスを業務とします。

この資格を持っていると、金融・保険・共済・不動産・商社などへの就職に有利になるでしょう。

どれもニートから就職するには難しい業界ばかりです。

その分、やはり「ニートにはハードルが高い」と言えます。金融や不動産は「宅建」の項目でも語りましたが、激務&ノルマのプレッシャーなどが凄まじいですからね。商社や保険関係もそうですし、商社なんかビジネスマスターと言えるくらいのビジネス知識が必要とされます。

FPの資格があったとしても、3級じゃニートという経歴は打ち消せない可能性が高いです。

2級は欲しい。

ただ、3級は難易度が低めだけど、2級から一気に難易度が上がるんです。それに、3級を取得していることが前提条件となるので、ニートから取得するには時間がかかりすぎます。

その条件をスルーするためには、FP業務に関する2年以上の実務経験が必要なので、ますます無理です。

だから、FP資格はニートにはオススメできません。

7.販売士2級

販売士2級は、流通業界やスーパー・コンビニなどの小売業界で使える資格です。養成講座を受けて受験料5,660円を支払い、試験を受け、合格すれば取得可能とハードルが低い。合格率も決して低くはなく、取りやすいのが魅力的。

ただし、流通業界や小売業界はそもそも人材不足が深刻ということもあり、ニートだろうと採用確率が高いです。

ニートから就職するために取ることをオススメしないというわけではありませんが、必要性を感じません。どちらかというと、就職後に知識を増やしてキャリアアップするための資格ではないでしょうか。

8.TOEIC700点以上

ニートはとにかくTOEIC700点以上を取れ! と言われることが多いです。

700点以上という基準の根拠は、「さまざまな状況下での英語のコミュニケーションや読み書きが可能」という「ビジネスで英語を使うための基準である」とされていることにあります。

グローバル事業に力を入れている企業や、商社・外資系企業の営業職などはTOEIC700点以上の点数が無いと門前払いされることがあるほど重要なものです。実際、新卒の学生の間では最も重視されている資格だと言えます。

新卒の学生の場合、人気がある企業がグローバル化を重視している企業だということで、こぞって取得を目指している傾向があるんですよ。

あとは、大学で4年間英語を学んでいる現役学生たちにとって700点というスコアは現実的に手が届くレベルだから「取っておこうかな」ということでもある。

そして、新卒採用の場合は「学力」「学歴」「性格」くらいしか判断することがありません。だから「英語」という世界で通用する学力の最たるものを証明するTOEICを、採用側も重視するわけです。

じゃあニートが取得するにはどうかというと…微妙。

まず、英語学習にブランクのある状態で取得するにはレベルが高すぎる。

その割には「持ってる人多いしなあ」と、中途採用だとイマイチ重宝されません。特に、英語が大事な企業ほど「それくらい当然」と考えますから。それを持っていたとしても、社会経験がある人に就職で勝てるようにはならない。

難易度の割には、実りが少ないのではないでしょうか。

結論:ニート全員にオススメの資格などない!

これまでさまざまな資格をニートと結び付けて語ってきましたが、結局のところ「ニート万人にオススメできる資格などない」んですよね。

資格を紹介する中で「ニートにとって有用ではない」と語ったものもあれば、「有用性が高い」と語ったものもあります。ただ、どれも「介護に興味があれば」「経理になりたいのであれば」という条件付きでした。

資格というのは、あなたのやりたいことや、就職先に合わせて取得を考えるべきものです。

最終目的は「就職すること」であり、「資格を取ること」ではありませんから。

ニートだからと資格に逃げることなく、あなたが目指すべき道を定め、その仕事への就職に有利になるような資格取得に向けて動きながら、就職活動を進めましょう!