高卒ニートの就職には、一定以上の努力と工夫を要します。

自分の経歴を語るときに悪印象にならないようにする工夫、就職するために必要な力を養うための努力…。そして、自分に合う仕事を見つけるための時間も大切です。

だけど、それらさえしっかりとおさえて就職活動をすれば、高卒ニートにも希望はあります!

今回は、高卒ニートから就職を成功させた人へのインタビューを掲載しつつ、就職戦略を考えてみたいと思います。

【インタビュー】高卒ニートが就職を成功させるまでの軌跡

僕の知り合いの元高卒ニート「坂崎くん」に、就職活動をしたときのことを根掘り葉掘りインタビューしてみました。その内容を3項目に分けてお届けしますので、就職戦略を立てるときの参考にしてみてください。

1.就職準備

僕「まず、就職活動を始める前に何かしたことはありますか?」
坂「どうしても人と話す機会が少なかったので、コミュ力矯正を行いました」
僕「矯正…凄そうだけど、具体的にはどんな?」
坂「普通に不自由なく会話できる程度を目指して、最初は親と話しましたね」

坂崎くんは実家暮らしでしたが、高卒ニートになってからは家にいるときはほとんど部屋にこもっていました。食事の時間もわざと親とずらし、なるべく顔を合わさないようにしていたんです。

坂「まあ…その甲斐あって親と会話するのには言葉に詰まったりしなくなりまして」
僕「すごいじゃないですか」
坂「だけど、それだけだと内弁慶になってしまう気がしたんです」
僕「確かに」
坂「知らない人とも話せないと意味が無いじゃないですか。それからはとにかく色々なところに行きました」
僕「たとえば?」
坂「ダーツバー、パブ、読書会、セミナーなんかですね」

お酒が絡むと人と人との心理的距離が近くなるため、お酒関係の場に行くのは実はコミュ力強化にはかなりピッタリなんですよ。ダーツバーは「ダーツ」というゲームを通じて交流できるので、そこも良いところですね。

坂「読書会は最初ひたすら無口で、後半は感想を言い合ったり楽しかったです」
僕「それでコミュ力は?」
坂「社会に出るときに困らないくらいにはアップできましたが、未だに人見知りではあります」
僕「ほかに準備したことはありますか?」
坂「そうですね、自分の中にある高卒という負のバイアスを外しました」
僕「というと?」

坂「高卒だからどうせ自分は良い仕事には就けないとか、そういう諦めを消したんです」
僕「それは大切ですよね」

高卒だから良い仕事には就けないとか、良い会社には入れないとか、そういう思考をすると視野が狭くなります。特に高卒ニートは「高卒」と「ニート」という二つのマイナスイメージがあるので、その思考が強くなりやすいんですよね。

坂「高卒ニートにオススメの仕事を探したら、建設の作業員や工場の仕事、運送会社ばかりだったんです。それらが自分に合うとはあまり思えなかったので、視野を広げることにしたんですよ」

実際、「学歴不問」「未経験歓迎」という求人を探すと多種多様な職種の求人が見つかります。

営業、事務、ITエンジニア、ホテルのフロント、タクシー運転手などなど…。学歴不問&未経験歓迎のイメージがあまりないような企画系の仕事でも、そういう求人があります。

高卒ニートが選べる仕事は少ないと言われているけれど、実際にはもっとあるはずなんです。

視野を広げて、自分自身の状況と能力や性格とを踏まえて、自分に向いている仕事を選ぶべきではないでしょうか。高卒ニートだからこそ、そういう仕事でキャリアをスタートさせたほうがいいと僕と坂口くんは思います。

そのほうが長くキャリアを積み重ねていきやすいですからね。

2.就活で大変だったこと

僕「準備はとても大切ということですが、就職活動中大変だったことはありますか?」
坂「高卒ニートというイメージの悪さですねえ…」
僕「具体的には?」
坂「高卒というだけで、教養が無いとかバカとか思われるんですよ」
僕「ああ…そのイメージは付いて回るかもしれませんね」
坂「はい。それにニートが加わると、馬鹿の根性なし、常識なしとかもう最悪です」
僕「それで面接のときに落とされたり?」
坂「それが原因かはわからないですが、高卒ニートということで嫌な質問が多かったですね」

ニートが面接を受けると、必ずニートの理由を聞かれます。これに加えて、高卒ニートは「なぜ高卒になったのか」まで聞かれるんです。坂崎くんが苦労したのは、そのときに「実家が貧乏だった?」「勉強嫌いだった?」と決めてかかられることが多かったということでした。

僕「それは嫌だなあ」
坂「まあ実家のお金が…というのは間違いではないんですが、デリケートなところなのであまり嫌味な突っ込まれ方をすると嫌な気持ちになります」
僕「挫折はしませんでした?」
坂「泣きそうになって、もう嫌だとは思いました」

しかし、坂崎くんは挫折することなく就職活動を続け、見事就職を成し遂げました。そのために行った就職対策を、見ていきましょう。

3.就職のためにどんな対策を行ったのか

僕「苦労をどう乗り越えましたか?」
坂「まず、高卒ニートのイメージの悪さを覆せるアピールポイントを探しました」
僕「というと?」
坂「教養が無いというのを覆すために読書会での経験などを自己PRに含めました」

坂崎くんがコミュ力強化のために行った読書会。何度か同じ読書会に顔を出しているうちに、彼の読書力と発表力はメキメキと上がっていきました。感想を発表し合うときにはディベートのようになるのですが、彼の感想は周囲から「素晴らしい」と好評だったんです。

そのエピソードから「人前で話すのが得意」「理解力が高い」ということをアピールしました。あくまでも「高卒ニートに対するイメージの悪さを覆すアピール」というのは、このエピソードから相手に汲み取ってもらおうという姿勢を貫いたんです。

そこを露骨にアピールしたとしても、マイナスにならないだけでプラスにはなりませんから。

もちろん、相手が「教養が無さそうだなあ」とか「高卒でしょう?」とか言ってきたときには、もっと露骨にアピールしてもいいと思います。

僕「ほかにも対策しました?」
坂「中小企業をメインに就職活動をしましたね」
僕「ああ…確かに大企業は高卒を取りたがらないですからねえ」
坂「それはどの業界でも同じだったので、人手不足で高卒ニートだろうと関係なく評価してくれそうな中小や零細のほうがいいと思ったんです」

僕「それは素晴らしい対策だと思います」
坂「他にも、高卒の理由とニートの理由を工夫しました」

坂崎くんが高卒になったのは、実家の金銭問題が主な理由です。兄があと1年で大学卒業という頃、父親が定年を過ぎて稼ぎが大幅に減りました。大学進学を考えていた坂崎くんですが、ここで親からストップがかかります。

「兄を卒業させるために、就職してくれ」

しかし、坂崎くんの高校は進学に力を入れている学校で、就職支援はまるっきりダメだったんです。そうして就職先が決まらないまま卒業してしまい、坂崎くんはなんだか気力を無くし、高卒ニートになりました。

以上の理由を前向きに捉えて話すように工夫したんです。

坂「実家の金銭的な理由で大学進学を辞め、急遽就職することにしました。しかし、高校の就職支援で紹介された会社はどれも自分に合っているとは思えず、就職活動が長引き、卒業後も無職になってしまったのです。これを私は自分にぴったり合う仕事と会社を見つけるチャンスだと捉え、これまでは自分に合う仕事や会社を探すために無職生活を続けておりました」

このようにして工夫すれば前向きな印象を与えられます。そして、ニート生活をしている中で話せる経験があまり多くなくても「何もしていない」とは思われないでしょう。

「高卒ニートは稼げる仕事に就けない」は嘘

賃金構造基本統計調査(平成30年)を見てみると、大卒と高卒の給料の違いがわかります。

20代前半、大卒は月給23万円で高卒は月給約20万1千円となっているんです。この差が年齢と共に広がっていき、30代前半になると「大卒約32万1千円」「高卒約25万5千円」となっています。

高校卒業後順当に仕事をし続けていてもこれくらいの差があるのだから、「高卒ニートは稼げない」と考えるのは当然でしょう。

ただ、先ほども語ったように「高卒ニートだから…と諦めることが最もダメなこと」なんです。

高卒ニートでも稼げる方法があります。

まず、学歴も職歴も関係なく稼げる仕事に就く方法です。

夜の仕事がその典型例ですが、高卒ニートによくオススメされる「運送業」でも「大型免許」を取ると年収400万円・500万円を稼げるようになります。これも学歴職歴不問で稼げる仕事と言えるでしょう。

また、段階的にキャリアを踏んでいくという方法もあります。

運送業で大型を取るというのは、これにも当てはまりますね。最初は小型トラックだけだから稼げなかったとしても、仕事をしながら中型を取り、年収300~350万円を超えるようになる。そして、大型を取れば500万円も目指せるようになるわけです。

ここで転職をし、より高い年収で雇ってくれる会社を探しても良いと思います。

それに、「学歴関係なく評価してくれる会社」を探せばいいんです。

そういう会社でキャリアを積み重ねていけば、大卒の年収にも十分食い込めますし、追い越すこともできるでしょう。

要は高卒だからと諦めてしまうことなく広い視野で仕事を探し、そのうえで就職後に努力し続ければ高卒ニートだろうと稼げるようになるということです。

高卒ニートは資格を取ったほうがいいのか?

資格を取った方が良いのかというと、結論はこうです。

特に今から資格を取得しておく必要性は無い。

あなたにやりたい仕事があって、その仕事において資格が大切だという場合は取った方が良いと思います。そうじゃなく、ただ漠然と「高卒ニートだし就職するなら資格くらいはないとお話にならないよね」という考えだけなら取る必要はありません。

「学歴不問」「未経験歓迎」という求人を見てみるとわかるんですが、資格が必要な仕事はそんなに求人が多くないんですよ。

あったとしても「要運転免許」くらいです。

中には「資格は就職後に取ってもらいます」という求人もあります。

そういう求人を探せば、就職活動時点で資格を取得しておく必要は特にないんです。

非正規から社会復帰するのもアリ!

基本的には、坂崎くんのインタビューの中で語った就職戦略を実施していれば高卒ニートから正社員に就職できると僕は思っています。

だから、正社員を前提に就職活動をしましょう。

ただし、自分の状況を客観的に見てどうしても難しいと感じる場合や、就職活動をしてみたけどどうしてもダメだったという場合には非正規から社会復帰するのもアリだと思います。

アルバイトだけじゃなく、派遣社員や契約社員などさまざまな働き方があるわけですからね。

そういうところから社会経験を得たあとなら、同じ仕事に正社員として就くのはそう難しいことではなくなります。

高卒ニートの就職戦略の最後の砦として、念頭に置いておきましょう。