実録・怖い上司の話。
納涼肝試し大会の時期はまだ先ですが、ちょっと早い納涼大会をやりたいと思います。そう怖がることはありません。
テレビで見るような呪いのビデオとか、そういうのではないんです。
ただ、僕が実際に遭遇したことのある怖すぎる上司の話がしたいんですよ。
ブラック企業時代、怖すぎる上司が二人居ました。
道を極めると書いて極道と読むような、ヤクザチックな上司。
そして、霊感の強いホラーな上司。
もう一度言います。
これは、僕が実際に遭遇した話です…。
この2人の存在が僕の「仕事を辞めたい」という気持ちに少なからず影響していたのは確かです。
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ヤクザ上司の怖すぎエピソード
白か黒かハッキリさせたがり
ブラック企業に勤務していた時代、僕には、ヤクザ的な上司がいました。
ヤクザ的であって、決して本物ではありません。背中に大きな和彫りがあるわけでもなく、ただ単に性格や生き方・考え方なんかがヤクザ的なんです。良い意味でも、悪い意味でも。
彼は物事を白か黒かの二極で考えます。
彼の辞書に、灰色の二文字はありません。
自分がミスをしたら「ミスを揉み消すか、徹底的に責任を取るか」の二択で考えるんですよ。男らしく自分のミスの責任を取る様は男気溢れてカッコいいと思ったもんです。
揉み消すのは過激だなと思いますけどね。
「これは揉み消せる問題やから黙っとけ」と言われて、どこかに消えていったときは本当に怖かった…。
結局その問題が無かったことになっていたことには、もっと恐怖を覚えたもんですよ。いったい、何をしたんだと。
もっと怖いなと思ったのは、この白か黒かしかないという態度は、仕事でミスをしたときにだけ発揮されるものじゃないと気づいたときです。
僕と同期が仕事中にちょっと揉めていて、それをその上司が仲裁に入ろうとしました。上司はまず言うんです。
「自分らどっちが悪いんや」って。別にどっちが悪いということもなく、ただお互いの意見の衝突だったので僕ら二人は言葉に詰まりました。
「いえ、どちらが悪いとかでは…」と言ったら、上司が食い気味に「どっちか悪いから喧嘩なるんやろ。喧嘩の解決は二つにひとつやん。悪いほうが非を認めて詫びるか、シラをきって徹底的にやるかや」と言うんです。
僕は「これはだめだ」と思ってすぐさま謝罪し、仕事に戻りました。
あのときは肝が冷えましたね。トラブルには良いほうと悪いほうとしか存在せず、悪い側が謝罪をするか、どっちかの体力と気力が無くなるまで争うかの二択しかないと思ってるんですから…。
すべてにおいて極端というのは、怖い。考え物です。
ただ、こういう人は社会に必要なのかもしれませんね。白か黒か徹底的に究明してくれる人というのは、ときには役に立つんでしょう。
事実、自分が失敗をしたらうまく対処できていましたし、部下が失敗をしたらしっかりと部下に責任を取らせていました。
それでも…今はもうかかわりたくないです。
しかも、このヤクザ上司が怖いのはこういう極端なところだけじゃないんですよ――。
怒鳴り声が本格的すぎる
僕の同僚が、重大なミスをしたことがあります。
ヤクザ上司の力を持ってしても揉み消すことのできないほどの、重大なミスです。彼はミスをした同僚を別室へと連れていった。
僕はそのとき、とある博打漫画の「希望の船…! 負けたものは…別室行き…!」というのを思い出していました。
同僚が連れて行かれた部屋は、僕らが普段社内作業をしている部屋の隣で地続きになっています。
部署内の会議を行う、簡単な会議室みたいなところですね。
同僚が上司に連れて行かれ、扉が閉まる音をその場に居た全員が固唾を呑んで見守っていました。
営業の報告書作成や資料作成なんかをしていて残業中だったんですが、みんなが手を止めて会議室を見る。
すると…突然「何やってんねんオラァ!」と怒声が!
何を言っているかハッキリ聞こえるくらいの、大きな怒声。僕は思わず肩を上げてしまいました。
「自分何やったんか言ってみい! あ?」と、怒鳴り声は続きます。
そして、「黙ってんとなんか言えや!」と椅子か机かを蹴っ飛ばす音が聞こえたんです。重苦しいくらい低い声なのに、大きく甲高いように聞こえる怒声と、物が蹴っ飛ばされる音。
怖くて、みんな仕事どころではありません。
結局その同僚は、上司の白黒決着理論によって自主退職を迫られました。
そのとき、僕は思ったもんです。
あ、敵に回しちゃいけない人って、本当にいるんだ…。
ホラー上司の怖すぎエピソード
この部屋、いるね。
もう一人の怖い上司、彼には見えてはいけないものが見えていたようです。
第一印象からして、なんだかヤバい雰囲気をまとっていました。何か違う世界のものを見ているかのような不気味な雰囲気を、少なからず漂わせていたんです。
占い師でもやればいいのにと思うほどの怪しげな妖気を無料で垂れ流し続ける彼には、間違いなく霊感があると確信しました。
そんなことを常々思っていたんですが、入社して最初のうちは彼と絡む機会はなかなかなかったんですよ。このままあまりかかわり合いにならずに過ごせたらいいなと思っていたら、会議で一緒になりました。
会議が終わって各々仕事に向かうため会議室を去ったとき、僕とその上司が二人になった。
そこで初めて、上司が言ったんです。
「あ、ここいる」
「何がですか?」と問うと、「怖い顔をした女性」と短く言う。上司が指す方向を見てみると、そこにはやはり何も見えません。
「嫌ですよ、何もいないじゃないですか」と言うと「まあ、そうだろうね」と言って会議室から出て行きました。
わかっていたんですが、それでも背筋にツーっと汗が滴る感覚がしたのを覚えています。
その感覚に振り向くと、そこには…! 何もなかったんですけどね。
幽霊慣れしすぎ
営業で霊感上司と一緒になることがあったんですが、そのとき訪れていた会社の近くに有名な心霊スポットがあったんですよ。
よりにもよってこんなところに、この上司と一緒かと落ち込んでいる僕の肩を上司が突然トン、トンと…叩くんです。
「なんですか?」と言うと、上司は心霊スポットとして有名な建物を指して「いるねえ」と言うんですよ。
当然かのように「いるねえ」と。怖がることもなく、かといって死者の霊魂に慈しみを見せるわけでもない。普通にそこに人間がいるかのように、「いるねえ」と何気なく。
心霊スポットよりも、そういう慣れすぎている態度をとる上司が何より怖くて、早く会社に戻って報告書でもまとめたいという気持ちでいっぱいでした。
そんな僕の気持ちをよそに、上司はどんどん建物に近づきます。
どこに向かってなのか、軽く会釈をして。
彼は、いったい、どの世界に住んでいたんでしょうか。
その会社を去ってしまった今となっては、彼がどうなっているのかは知り得ません。
ただ、心霊スポットの近くに立ち寄った後日知ったんですが、彼の実家には三人の幽霊がいたそうです。
夜な夜な髪を引っ張ってくる幽霊と、深夜にシャワーを出しっぱなしにする幽霊、そして天井からじっとこちらを見つめてくる幽霊の三人。
「シャワーは誰かが出しっぱなしにしたんだろう」と思ったものの、何度シャワーを止めてもまた出るので幽霊の仕業だと確信したそうな。
彼は、最初は人並みに怖がっていたものの、途中から完全に慣れてきて幽霊に説教をするようになったんだとか。
「何度も髪引っ張るな、寝れないだろ!」とか「お湯もったいない!」とか「こっち見るな!」と…ね。
それが子供の頃の話だそうですが、その経験があの霊感上司を作っていったんでしょう。
ブラック勤務だからか、見た目からして死後の世界に片足突っ込んでいるような薄幸そうで年より老けた外見をしていましたし…。
なんでこんなに個性が強い上司ばかり…
さて、これが僕がブラック企業で働いていたときに関わった二人の「怖すぎる上司」の話です。
ヤクザ上司はブラック企業でよくあるパワハラ上司っぽいですが、霊感上司に関しては最早ブラック企業とか関係ありませんね。
見た目が異様に老けてしまって余計怖く見えるというのは、ブラック企業勤務の力なのかもしれませんけど。
前の会社は、なんでこう癖のある人ばかり集まるんでしょう。そういう人ばかり良い立場についてるんですよね。
謎だ…。