建設業は、社会の縮図。
仕事を生み出す人がいて、デザインする人がいて、それを形にしようと現場で頑張る作業員がいて、作業員を管理する人がいる。
ニートが社会復帰をするうえで、ものすごくわかりやすく社会の仕組みを知ることができる業界だと僕は思っています。
ニート上がりには建設業は厳しい面もあるけど、優しい面もある。
そんな建設業に就職してみたいと少しでも考えているニートの人たちが、今知っておくべきことをまとめて紹介しましょう。
まずは建設業の職種と仕事内容をザックリ見てみよう
- 設計
- 施工管理・現場監督
- 営業職
- 事務職
- 現場作業員
以上のようにさまざまな職種がありますが、設計と施工管理・現場監督はニートから直接就職するのが困難です。設計には資格が必要だし、施工管理・現場監督は現場での経験と資格の両方が必要ですから。
ニートからは「現場作業員」になるのが一般的です。
作業員の仕事内容は、さまざまです。
建設をするためには、まず土木工事が必要。重機を操作して土を掘削したりして、建設用地を整えます。次に、建築物の基礎となる部分を作り、建設工事をするときに使う仮囲い・足場などを設置したり、クレーンを使って鉄骨を高いところに組んだりするんです。
これが、とびと言われる仕事。
この仕事を極めると、鳶職人と呼ばれるようになります。
あとは、鉄筋を作り、コンクリートを流し込みむ躯体工事をする。この作業を行う人たちのことを一般的には「大工」と呼ぶわけです。
建物の躯体ができたら、外壁と内壁を作り、それらをコテを使って塗り固めます。このコテを使って壁などを平らに滑らかに仕上げる人たちを、左官と呼ぶ。
その後は塗装工事と内装工事をし、電気設備などを付けたら完成。
以上の仕事を、さまざまな人が役割分担して行っています。
そして、土木工事・躯体工事・左官工事・内装工事とを別の会社が行うことがあるんです。
基本的には求人数が多い建設会社に就職することをオススメしますが、やりたい作業の専門店に就職するのもアリだと思います。
また、建設作業員の年収は300万円程度が一般的です。最初は月給20万円前後から始め、年収は250万円前後ですが、経験を積んでいくなかで上がっていきますよ。
さらに、キャリアアップしていけば給与の水準自体が上がり、高給も期待できます。
ニートが建設業に就職するメリットとデメリット
1.メリット
- 職歴・学歴・年齢不問
- 求人が多い
- 達成感を得やすい
- 転職時のアピールポイントが作れる
建設業界は、作業員なら職歴・学歴・年齢を問わないというのが基本なんです。現場作業員はどこもかしこも不足しているし、「なりたい」という人も少なく、これから増える見込みもないわけで…。
そんな状況のため、ニートだろうと体力があれば雇ってくれるんです。
また、作業員の仕事は形として残ります。最初はメインの作業をすることはなく、鉄骨を運ぶなどの補助的な業務になるでしょうが、経験を積めば実際に形として残る工事に着手することになるんです。
「これは俺が作った」というのは、何よりも大きな達成感になります。
ニート上がりの人にとって、仕事の達成感というのは社会人を続ける大きなモチベーションになるのではないでしょうか。
それを覚えれば、もうニートに戻ることはなくなると思います。
さらに、建設業をすることで体力・忍耐力・立場が違う人とのコミュニケーション能力などのアピールポイントを作れるんです。もし建設業を離れるとしても、次のキャリアに繋げやすいでしょう。
2.デメリット・大変さ
- 危険
- きつい
- アクが強い人が多い
- 天候に左右される
重機との接触事故、資材の落下事故、不注意からの事故…。常に「事故」という危険が付きまといます。それで死ぬ人もいるし、死にはしなくても指が無くなったり、足が無くなったりする人がいるわけです。
それは覚悟しておかないといけません。
また、建設業はアクが強い人が多いです。寡黙すぎる人、我が強すぎる人、仲間思いな人、乱暴な物言いの人、ヤンキーみたいな人…。個性的な人たちの中でうまく馴染む努力が必要になるわけです。
人とのコミュニケーションが最低限だったニート上がりの人にとっては、少しハードルが高いと思います。
最後の「天候に左右される」というのは、雨天時は作業が中止になり給料が発生しないという意味でデメリットにしました。
以上のデメリットを読んだうえで「オーケイ、覚悟はできてる」という人は、建設業に向いているのかもしれませんね。
ニートのための建設業Q&A集
1.建設業で週休2日の求人はある?
昔は、建設業で週休2日というのはほとんどありませんでした。
特に現場レベルだと「あり得ない」と言えるほどです。近所で建設工事をしていたとき、日曜日と雨の日を除く全ての日に現場が稼働していました。ネットを見てみても、「週休2日? 無理無理」という声がたくさんあります。
ただし、最近は建設現場の週休2日改革が推進されているんです。
そのためか、昔に比べれば週休2日制の求人も増えてきました。
それでも、まだまだ希少価値。
建設業界全体の人気が低く、未経験歓迎とは言っても建設業界の中だと競争率が高めになることが考えられます。
週休2日の求人数は限られているので、可能な限りたくさんの求人に応募し、面接対策をしっかりとすることで競争を勝ち抜くしかないでしょう。ニート上がりが急に週休1日は無謀だから、ここはしっかりと怠らないでくださいね。
また、面接ではとにかく「体力」と「忍耐力」をアピールしましょう。そこが、建設会社がニートに対して抱く不安箇所ですから。
2.建設業にスキルアップやキャリアアップはあるの?
ニートから建設業に就職するとき、基本的には現場作業員になると語ってきました。
そこからの一般的なキャリアは、作業員をしながら建築施工管理技士や土木施工管理技士などの資格を取得し、施工管理・現場監督になることだと言われているんです。
施工管理と現場監督の違いは「言い方の違い」くらいのもので、どちらも作業現場のスケジュールや安全を管理する仕事となります。現場で働く職種ですが、体を動かすよりもデスクワークが多いです。
ただ、施工管理・現場監督になる以外にも考えられるキャリアがあります。
ニートから就職するのが難しいと語った「設計」です。
ニートから作業員になり、仕事をしながら建築士の資格を取得し、再転職する。2級を取得した時点で制限があるものの、ハウスメーカーなどで設計・建築ができます。1級まで取得すると、ハウスメーカー・建設会社・大手ゼネコンなどさまざまな会社で設計ができるようになる。
それどころか、1級まで取得すれば独立の道もあります。
ニートが建設業に就職するなら、上記二通りの道のどちらかまたは建設業から離れて違う道に進むというキャリアを考えておきましょう。
違う道を進むなら、具体的にどの業界に進みたいのかを今から考えておくと良いですよ。
また、建設業のキャリアアップと言えば「建設キャリアアップシステム」も語らないといけないでしょう。
これは、簡単に言えば建設業で働く人が適切に評価され、適切なキャリアを歩むことができるようにするシステムです。
これに登録することで、就業履歴がシステムに蓄積されて、建設業で培った経験や能力を客観的に把握することができるようになります。
ただ、会社が登録していないと使えません。
これを使わなくても自分で客観的にキャリアを判断すれば、先ほど紹介したキャリアに進むことができます。
だけど、「働き方改革を行う会社かどうか」「客観的な評価をして昇給・昇進させてくれる会社かどうか」という指標になるんです。
ニートにとって働きやすい就職先を選ぶための基準のひとつとして、覚えておきましょう。
3.建設業は飲み会が多いの?
土木と建設業界は、やたらとお酒が好きというイメージがあると思いますが…。
実際そうです。
建設業はゼネコンだろうと地方の建設会社だろうと、どんな業態の会社であっても基本的に飲み会が多いんですよ。
頻度に関しては会社によって異なるので平均値を出せませんが、少なくとも月1~2回はあります。作業員は休前日に飲みに行くことが多く、多い会社だと毎週飲み会が開かれるようです。
「今週お疲れ様! パァーッとやろうぜ!」という感じでしょうね。
建設作業終わりの最初の一杯は犯罪的にうまいだろうから、酒好きとしては納得できます。
あと、お酒もだけど、麻雀好きな人やギャンブル好きな人も多いんですよ。
ニート上がりにはきついかもしれませんが、これらは業界に根付いた文化のようなもので、求人選びの時点で飲み会が多い職場を避けるのはかなり難しいです。
また、建設業の飲み会は縦社会。
部下や若手は先輩や上司たちに酒をついだり、注文したりという気配りをさせられます。
ただ、ここを逆手に取ればいいんですよ。
気配りに全力投球することで、酒を飲んでいないと思わせないようにする。その上「気配りができる」という高い評価を得られ、実際に気配りの能力や調整力などが鍛えられるわけです。
それは、施工管理・現場監督になるなど、業界で上を目指していくなら重宝する能力。
ニート上がりにはハードルが高いコミュニケーションになるかもしれませんが、うまく乗り切る術さえ身につけてしまえば、悪習すらも自分の糧にすることができるのではないでしょうか。
また、最初からお酒が飲めない体質であるということを告げておくのも手だと思います。
無理に飲ませる企業文化のところは、その時点で落とすでしょう。こちらとしても、無茶な酒をする会社を避けることができるので、Win-Winです。
「普通に酒を飲む会社」に就職したうえで、「気配り上手」になり、業界を上手に渡っていきましょう。
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