「保育士は人手不足だから就職しやすい」という現状があるとはいえ、ニートから保育士に就職し、良い待遇で働くのは簡単なことではありません。

すでに保育士資格を持っている人も、資格取得を検討している人も、保育士の実情や求人傾向を理解したうえで就職活動を始めましょう。

【無資格の人へ】保育士資格の取り方を知ろう

大卒なら、保育士試験に合格するだけで保育士資格を取ることができます。

だけど、高卒ニートは保育士養成学校に通うか、児童福祉施設において2年以上かつ2880時間の実務経験を積むかの道を辿ってから保育士試験に合格する必要があるんです。無資格ニートが実務経験をどうやって積むのかは後程詳しく語るとします。

まずは、試験の話からです。

試験の内容は、筆記試験と実技試験の二つ。

筆記試験は保育原理、教育原理および社会的養護、児童家庭福祉、社会福祉、保育心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論の8科目で構成されています。他の資格試験でよくある一般教養的な問題はなく、学力にかかわらず全く新しいことを覚える必要があるということです。

そして、実技試験は音楽表現・造形表現・言語表現という保育士としての技能を問うもの。

音楽表現はピアノ・ギター・アコーディオンのどれかを選び、課題曲を弾き語りします。自分の能力からではなく、人材不足などの状況から保育士に興味を持ったニートにとっての鬼門は、ここになるでしょうね。

造形表現は絵を描く試験、言語表現は課題をもとにして子供に3分間お話をするという試験です。

筆記試験は半年もあれば勉強できますが、実技はそうはいきません。

何も楽器が弾けないし、絵も虫が這ったような線という人は、保育士になるのにかなりの時間がかかると思います。

また、合格率は2割程度と低めです。

保育士資格を取ることの難しさは、覚悟しておきましょう。

資格を取ってもニートから保育士になるのは難しい

1.面接に受かる難しさ

保育士試験のときには面接はありませんが、認可保育園や無認可保育園などに採用されるためには面接に通る必要があります。特に、ニートが保育士になる上でこの面接はかなりの鬼門なんです。

保育士は、他人の子供を預かるという責任重大な仕事。もしも何かがあったときには、いくら背負っても背負いきれないくらいの責任を負うことになるし、親もあなたとその保育所を決して許しはしないでしょう。人の命の責任というのは、そういうもの。

そこで、ニートというステータスが壁になるんです。

世間一般のニートのイメージは「何の責任も負わず生きている」というようなもの。保育士になる上では圧倒的に心象が悪いんですよ。一般企業の営業職や事務職の面接とは比べ物にならないくらい、通過率は低いと思います。

特に、職歴ナシという場合はそのイメージがより強くなる。

ニートはそれ相応の面接対策をしないといけません。

この「責任感」「信頼感」「誠実さ」などのマイナスイメージを覆すためには、それが自分に備わっているということを証明する必要がある。

対策はいろいろあると思いますが、個人的には、ニートになった原因に「責任」というワードを散りばめてみると効果的だと思います。

たとえば、こんな風に…。

「私はこれまで親に決められた人生を生きてきました。大学も自分で選んだとは言い難く、せめて就職先くらいは自分の責任で決めたいと思ったんです。そのため、適当な会社の内定は得ていましたが、敢えてそれを蹴って自分に合う仕事や自分の本当にやりたい仕事を探し、自分の人生の責任を自分で負うため、ニートになりました。」

そして、その果てに出会った仕事が保育士という仕事です、と語るというわけです。

これで「人生に責任を追おうとしている姿勢に誠実さを感じるし、自分のダメだった点を反省してしっかり行動しているから信頼もできるだろう。子どもにも責任感を持って接してくれるはずだ」と思ってもらえるのではないでしょうか。

ただ、この例をそのままコピーして要所だけを変えるのではなく、あくまでも「回答の作り方の参考」にとどめてくださいね。

状況次第で、責任感などをアピールできるポイントは変わりますから。

2.過酷な保育の現場にニートが耐えられるか

保育の現場は、想像以上に過酷です。

もちろん職場選びである程度解決できるものも多いですが、保育士の人手不足はどこも深刻だから、職場選びで解決できないものもあります。それを踏まえて、これから紹介する保育現場の実態を噛みしめてみてください。

  • 仕事の持ち帰りが多い
  • 昼休憩も取りづらい
  • 休日も取りづらい
  • モンスターペアレント
  • 保育士同士の人間関係が大変

保育士は、子どもの面倒をみるだけの仕事ではありません。職場の各種事務作業をしないといけないし、保育教材や保育園の飾りつけも作らないといけませんからね。だけど、その時間を勤務時間中に取るのが難しいから、仕事を家に持ち帰るということが多いんです。

休憩時間に事務作業をすればいいと思っても、昼休憩すらまともにとれません。

ほかにも、モンスターペアレントの心無い罵倒や保育士同士のいじめなどの精神的ストレスがかかるわけです。

こういう過酷な状況に、ニートの精神力で耐えられるかどうかが問題になります。

自分自身の精神力を分析し、耐えられないと感じたなら違う道を選ぶという諦めが必要なのではないでしょうか。

無資格のニートは保育補助から始めるという手もある

無資格のニートは特に、保育補助から始めることをオススメします。

資格の取り方の項目で、「高卒は実務経験があれば保育士の資格を取れる」と語りましたが、その経験を積むための方法が保育補助というわけです。

保育補助の仕事は職場によりけりですが、掃除・片付け・準備・事務作業などの雑務がメインとなります。ツマラナイと感じるかもしれないけれど、保育士にお願いされれば、子どもの寝かし付けやオムツ交換、食事サポートなどをすることもあるんですよ。

また、保育補助はあくまでもアルバイト扱いだから、ニートがいきなり正規の保育士になる場合よりも、面接であなたを判断する目がやさしいです。

資格取得済みの人でも、保育士という責任重大な仕事にいきなり就くことのプレッシャーと面接のハードルとを両方下げられる保育補助は、オススメ。

無理なく段階的に保育士を目指していきましょう。

ニート上がりの人に適している職場とは?

保育士の職場は、認可保育園と無認可保育園とが一般的です。

認可保育園は一般的に「保育園」と聞くとイメージするような施設で、国から認可が降りている保育園のことを指します。無認可保育園は国からの認可が降りていない保育園のことで、さまざまな形態の施設があるんです。

僕がニートにオススメしたいのは、その無認可保育園の種類のひとつである「企業内保育所」なんですよ。

会社の中にある託児所のようなもので、その会社の社員の子どもを一時的に預かります。ということは、会社が休みの土日に保育士も休むことができるということなんです。そして、会社の人が残業をしない限り、保育士も残業がありません。

しかも、福利厚生はその企業のものを使うことができるため、認可保育園より充実していることが多いです。

行事も無く業務量が少ないことも、ニートから保育士になる上ではかなり大きなメリットになると思います。

業務が限定されている分、保育士としての基本的な能力や経験を積みやすいですからね。ここをスタートとして保育士として働くことに慣れたら、認可保育園などでさらに本格的な保育を目指すと良いと思います。

また、認可保育園を選ぶときには、事務作業の効率化を進めているかどうかをチェックしておきましょう。

保育園の中には、未だに非効率的な作業を行っているところがたくさんあるんです。手間暇をかけた分だけ気持ちの入った良い保育ができるという考えがあるのかもしれません。

そういうところは何かにつけて「良い保育は…」と精神論を語り、仕事を持ち帰らせようとしてきます。

事務作業はどのように行うのかを面接時に確認し、効率が悪いと感じたら避けるようにしましょう。

段階的に保育士を目指したり、職場選びに力を入れたりすれば、ニートから保育士になることの難しさはかなり軽減されますよ。