自社商品やサービスなどを外部に向かって広くアナウンスするのが、広報とIRの役目。
ユーザーが新しい商品やサービスに触れるきっかけ作りをするという、キューピッド…と言えるほど素敵な仕事でも無いようですね。
この仕事に誇りを持っている方も多いでしょうが、ここに来ているということは、そうじゃないでしょう。
広報は憧れられることもありますが、その実、会社の知りたくない側面を知ったり、労働環境がそれほど良くはなかったりと、イカニモな悩みを抱える人が多いです。
こんな仕事嫌だ!! キツすぎる……。
そう思っている人たちの「仕事を辞めたい」という考えが、うまくまとまるように、転職成功者の僕も僕自身の考えをまとめてみました。思考の最初は、「どうして辞めたいと思うのだろう?」というところから。
広報・IRが抱えがちな悩みを知り、そこから転職活動の具体的方策について考えます。
広報・IRは兵隊チック
広報・IRの仕事は、意思決定や大きな仕事は全部40代・50代がするという会社が多い傾向があります。
少なくとも30代後半くらいになるまでは、大きな仕事はさせてもらえません。20~30代までの若手がすることと言えば、裏方です。
裏方と言うとまだ少し聞こえがいいですが、要はパシリだ、パシリ。
島耕作みたいな、若くして国内・海外問わず飛び回るような素敵な広報マンなんて、実在しないんです。若い広報マンは社内の裏方作業を、言われたとおりにやるだけ。
老いた指揮官の言うことを、忠実に実行するだけの兵隊です。
サラリーマンを企業戦士と言うことがありますが、若手広報マンは戦士にすら、なれない。
この裏方作業に嫌気が差して、辞めたいという方が多いです。仕事が好きになれないから、辞めるということですね。一見「逃げ」に思えるかもしれませんが、仕事が好きになれないっていうのは致命的だと思います。
僕は「仕事よりプライベートが重要だ」と言ってますが、なんだかんだ、人生で仕事をしている時間はあまりに長いですからね。これからの時代、定年の定義がもっと延長されていくと予想されていますし、今後もっと長くなるでしょう。
だから、仕事が好きになれないから辞めるというのは、至極真っ当で誠実な理由です。むしろ、これ以上無いほどに誠実な理由だと思いますよ。
社会の汚い部分が、なんとなく見える
広報・IRの仕事の一番大変なところは、こういうところだと僕は思います。
この仕事をしていると、社会の汚い部分が、薄らぼんやりと見えてくるんですよね。正確には薄らぼんやりとした霧の中にいるような状況の中で、それが見えてくるといったところでしょうか。
広報・IRをしていると、会社全体のことで頭を下げることが多いですよね。
「俺は、常に誰かに詫びを入れているな」と思うことがありませんか?
会社の不祥事が発覚したとき、商品に不良が発覚したとき、客からの苦情や抗議・お叱りの手紙と電話が届いたとき…。頭を下げるシチュエーションを挙げると、本当にキリがありません。重大な事態でなくとも、日常の細々としたことで頭を下げるのが広報・IRです。
自分が悪いわけじゃないし、自分には怒られる理由が無い。
商品に不良があったとして、自分は開発チームじゃないから分からない。苦情や抗議の内容の真偽も定かではないし、会社の不祥事のことなんてもっと知らない。
そんな「ないない」だらけの薄らぼんやりとした状況に身を置かれたとき、「社会ってこんなもんなのか」と思ってしまう人が多いんですよ。
自分が悪くないのに頭を下げなければならないこと、自分のいる会社の汚い部分、理不尽な客たち、無責任なマスコミ…。
色々な、社会の嫌な部分がなんとなく察せられるんですよねえ。
それもまた、広報・IRの仕事が好きになれないということに繋がっています。
休日出勤と残業が多い
外部にいるとイメージが沸かないんですが、実際に広報・IRの人の話を聞いてみると、休日出勤と残業が多い傾向があるということがわかるんです。
求人票を見ていても、年間休日120日以上と保障してくれる会社はなかなか見つかりません。
情報を盛ることができる求人票でもそうなんだから、実際は年間休日100日前後か、良くても110日前後であることが想像できます。
その分給料は決して悪くはないようですが、当然ですよね。
ただ、それでも休日出勤や残業の多さと給料が若干見合わなかったりして、うまく誤魔化されている感じがしませんか? 自給換算してみれば、自分の労働に給料が見合っているかどうかがわかりますよ。
一度、計算してみてください。
転職するならどの職種?
広報・IRが仕事を辞めたいと思う理由として、ありがちなものを知った上で、悩みを解消できる転職先はどれだろうかと職種を色々絞ってみたんですよ。ただ、結局どの職種でも「職場による」という悩みが多いように思います。
たとえば、休日出勤や残業が多いというのがそうですよね。特に多い・少ない職種はありますが、それ以外の職種でも職場によってはあり得ないと思うくらい残業が多い会社も、少ない会社もあります。
兵隊チックというのも、職場によるところが大きいです。
だから、悩みを解消できるという条件に、広報・IRが転職しやすい職種という条件を加えて絞ってみました。
オススメ転職先リスト!
- 事務職全般
- 営業マン
- 営業アシスタント
- 企画
- マーケティング
- 秘書
一番オススメなのが、営業です。
僕自身が営業だから、オススメしているというわけじゃなくて、ね! 本当ですよ?
実際、営業から広報に移る人や、広報から営業に移る人が多いんです。転職してそうなったという人も多いし、異動でそうなったという人も多い。
どちらの仕事も、「自分たちの商品やサービスを広く知らせる」というものです。営業と広報とでは知らせるアプローチ方法と、アプローチ先が違いますが、根本は同じですからね。だから、ハードルが低いんです。
今の会社に不満があるなら転職してもいいし、今の会社に不満が無いなら異動を申し出てみても良いでしょう。それもまた、営業をオススメする理由のひとつです。
選択肢は、多いに越したことはない!
未来の可能性は無限だから、無限の選択肢の中から自分の手が届く範囲の物を、片っ端から検証してみてください。広報・IRの仕事の不満から抜け出すのは、職種選びという意味では、そうシビアではありません。
ただ、職場選びは若干シビアです。
だから、良い選択を…健闘を祈る。