会社で殴られた…。もう我慢できない!

ただ、職場で暴力を振るわれたとき、どういう行動を起こせば正解なのかがわからない人もいるでしょう。

今あなたが取るべき行動の選択肢は3つあります。

「傷害罪として訴える」
「会社や外部機関に相談し、加害者に然るべき処分を下してもらう」
「転職する」

これから、それぞれの選択肢について詳しく説明します。

選択肢1.「傷害罪で訴える」

会社で殴られた際、傷害罪または暴行罪どちらかの罪が成立する可能性があります。

傷害罪の定義は「人の体を傷害すること」です。傷害罪だとみなされるには、次の4つの要件を満たしている必要があります。

  • 傷害の実行行為の有無
  • 傷害の結果の有無
  • 傷害の実行行為と結果との間の因果関係の有無
  • 故意の有無

つまり、相手が故意にあなたに暴力等をふるい、その行為によってあなたが怪我をしたことを証明できる場合に、傷害罪が成立するということです。

会社で殴られたけど怪我をしなかった場合は、暴行罪に当てはまります。

傷害罪の刑罰は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」ですが、暴行罪は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金、または勾留もしくは科料」です。

暴行罪のほうがかなり軽いですね。ちなみに、科料というのは「1千円以上1万円未満の支払い」です。1万円を超える支払いは罰金になります。

相手をより重い罪に問いたい場合や、示談によってなるべくたくさんの示談金を得たい場合は、なんとかして傷害罪を成立させましょう。

傷害罪を訴えるには十分な客観証拠が必要

傷害罪として訴えるには、十分な「客観証拠」が必要です。

客観証拠というのは、診断書、怪我の状況を示す写真などの証拠、防犯カメラの映像、会話の録音データなどの客観的な証拠のこと。

他に、被害者の証言(被害届等)、他者の目撃証言、加害者の自白などの「供述証拠」もありますが、供述証拠だけで客観証拠が不十分だと、罪はなかなか認められません。

また、診断書が無ければ傷害罪ではなく暴行罪として処理される可能性が高いです。

傷害罪を訴えるには「被害届」または「告訴状」

傷害罪として相手を訴えるには、「被害届」または「告訴状」を出す必要があります。

被害届は「被害を受けた」という報告程度のものです。これを受け取ったからと言って、警察は必ず捜査しないといけないわけではありません。

警察が動かないこともよくあります。

告訴状は、受理した場合には必ず警察庁に送検しないといけない義務があるので、警察が確実に動いてくれます。

傷害罪で訴えたときの示談金の相場

示談金には一般的に、治療費、休業損害、入院雑費、通院交通費、慰謝料が含まれます。

示談金の相場は、傷害が軽い場合は10~30万円程度です。

傷害が重い場合は100万円以上を超えることもあります。

傷害罪で訴えたときのデメリット

  • 証拠集めが難しい
  • 示談にした場合は懲戒解雇は難しくなる
  • 裁判になると費用も時間もかかる

会社で殴られたという客観証拠を取るのは、正直言って難しいです。

日常的に暴力を振るわれている場合は、暴力のタイミングがなんとなくわかるかもしれません。前兆を感じたら録音したり、協力者に録画してもらったりできるでしょう。

ただ、暴力というのは突発的なものです。殴られ慣れていない場合、タイミングがわからず、録音も録画も難しいでしょう。証拠が集まらないと訴えるどころではありません。

加害者が解雇されなかった場合は、加害者に恨まれ続けるかもしれません。まあ、流石に暴力はしてこないでしょうけどね。居心地は悪いです。

しかも、示談にした場合、会社に加害者を懲戒解雇処分にしてもらうのが難しくなります。示談とはつまり「互いに交渉した結果、被害者は加害者を許し、丸く収めた」ということですからね。

また、もしも相手が示談に応じず起訴する流れになった場合…。

費用も手間もかかります。

告訴状の提出自体にはお金がかかりませんが、弁護士などに依頼するとなると安くても20万円はかかるんです。しかも、刑事訴訟の場合は相手が有罪になっても、損害賠償の支払いや訴訟費用の返金などはありません。

選択肢2.「会社などに相談して然るべき処分を下してもらう」

職場内の暴力を相談する先は、職場のハラスメント相談窓口や人事、労働組合、労基署などです。

「会社で殴られた」として加害者に何らかの処分を下すことを請う場合も、証拠集めが必要になります。効果的な証拠は傷害罪として訴える選択肢でも紹介したように、会話の録音データや防犯カメラの映像などです。

それらに加えて、怪我をしたことを証明するために診断書をもらわないといけません。

また、職場内で暴力をふるった人間に対する処分は、一般的に減給、降格、懲戒解雇などが考えられます。

懲戒解雇にしてほしい場合は、しっかり証拠をそろえた後に「被害届や告訴状を出すことも考えている」と伝えるのも効果的でしょう。

本気度が伝わりますから。

職場内の暴力を相談するデメリット

  • 証拠が無いとまともに話を聞いてくれない
  • 証拠があっても揉み消されることがある
  • 相談がバレればエスカレートする可能性がある

職場内の暴力を相談したとしても、証拠が揃っていないとまともに話を聞いてくれません。ただ、傷害罪として訴える選択肢でも語ったように、証拠をそろえるのは難しいです。殴られるタイミングに音声録音や録画をしないといけませんからね。

仮に証拠が揃っていたとしても、揉み消されることもあります。

加害者が部長などしっかりとしたポストについている場合は、特にそうです。会社としては、こういう人が暴力をふるったことを認めて処分を下すのは非常に面倒なことですからね。

また、揉み消されたうえに相談したことがバレれば、暴力がエスカレートする危険性もあります。

選択肢3.「これを機に会社を見限って転職する」

今回の職場内暴力の一件で、これまではあまり目につかなかった職場のダメな部分や自分には合わない部分に気づいた人もいるのではないでしょうか。

たとえば、今回の件を職場の先輩や他部署の上司たちが見て見ぬ振りしてるとか、暴力体質の上司が野放しになっているとか…。自分の一件を機に前例を調べてみて、過去にも同じような事例があったことを知った人もいると思います。

他にも、ブラック企業ぽい体質があるとか、暴力を正当化するような体育会系の体質があるとか…。

今後、自分には合わなくて辛いと感じることが多かったり、暴力以外にも何らかの不利益を被ったりしかねません。

そういうことに気づいたなら、今の職場を見限って転職するという選択肢も視野に入れて、早めに転職活動をはじめておくと良いのではないでしょうか。