仕事を辞めたいという思いを引きずりながら仕事をしていると「うつ」になるというのは、いろんな人が何度も言っていることですよね。

そりゃあ嫌なことにその身と心を常にさらされることになるんだから、うつ病にもなります。

ただ、たいていの場合は「仕事辞めたいなあ」と言ってからうつ病になるまで結構大きな時間差があるんですよ。

それはもう何ヶ月単位という大きな時間差です。人間は弱いようで案外強く、そうすぐに心が折れてしまわないものなんでしょう。

しかし、僕は「仕事辞めたい」と言ってからたいした時間差もなくうつ病を発症した人を知っています。

それは僕が知る限りでは「仕事辞めたい」発言からうつ病発症までの最短記録でした…。

その先輩は勤勉家だった

最短記録を達成してしまった人は、僕のブラック時代の先輩です。

個人的にも結構よくしてもらったほうで、何度か仕事のアドバイスをいただいていました。

僕が先輩に対して抱いていた印象は、真面目で勤勉。

仕事に対して一生懸命で、周りからは楽しく仕事をしていると思われていました。

僕も、当然そう思ってたんですよ。こんな環境でも楽しそうに仕事できる人がいるんだなと驚きながらも、僕にとって楽しく仕事ができる環境ってどういうところかなと、先輩を見ながら考えを巡らせていました。

同時に、仕事辞めたくなるとき無いのかなと疑問を持ちました。

先輩が突然言った

順風満帆に仕事をしている風に見えた先輩ですが、普段はあまり飲みには行かない様子でした。

そこで、思い切ってみんなで飲みに誘ったんです。普段は同期だけで行っているのですが、たまには先輩もどうですか…と。

そしたら、意外にもすんなり「行くよ」と答えたんですよ。

それで飲みも進んで、翌日が週に一度の休みだったものでみんな結構出来上がっていきました。「飲みすぎだよなあ」なんて思って先輩を見ると、同じく飲みすぎている様子。

そこで、僕は先輩に思い切って聞いてみたんですよ。

「仕事辞めたくなるときってありません? 僕はもう常々…」と。

そしたら…「俺も常々思ってはいるけどね」と言うんです!

あれだけ楽しそうに仕事をしていた先輩が、実は常々仕事を辞めたがっていたとは。酔いが冷めるほどの衝撃です。

ただ、後日先輩にこのことを聞いたら「覚えてない」と言うんですよね。かなりの量のお酒を召していたので、覚えてないのも無理はないなと思います。

同僚も覚えてない様子だったので、先輩の弱音を覚えているのは僕だけ。

なんか責任重大っぽいですよね。

そこで、僕はひそかに先輩を見守ることにしたわけですよ。

あ、別にソッチの趣味はありませんよ?

そして、一ヵ月後…

先輩を見守り続けて一ヵ月後、なんだか先輩の様子がおかしい。

周りから見ると楽しそう・順風満帆そうだった先輩が、誰の目からも辛そうに見えたんです。特に午前と午後がもう辛そうで見てられないほどでした。

夕方を回ると少し元気が出るようでしたが、それでもやっぱりおかしい。

躁鬱を繰り返しているというほど夕方以降元気だったわけではないんですが、明らかに午前と夕方回るまでのテンションが低すぎるんですよね。

本人にどうしたのかと尋ねてみても、最近気分が優れないという曖昧な答えしか返ってきません。僕は思い切って「医者に診てもらったらどうですか」と言いました。もちろん、この場合の医者は「心療内科」です。

後日、先輩は心療内科を受診するために有給休暇をとりました。

カウンセリングにも行きたいからということで、まとめて数日。ただ、やっぱり「心療内科に行きたいから」では通らないと考えて冠婚葬祭ということで取り繕ったらしいです。

誰だって、同じことをするんですね。

数日の有給を終えて先輩は僕に報告してくれました。

結果…うつ病と診断されたそうです。

「仕事辞めたい」発言から、うつ病発症までなんと一ヶ月

先輩を見ていて思ったこと

先輩は勤勉で真面目という印象は今もずっと変わりません。

ただ、真面目だからこそ「仕事辞めたい」と吐露してからすぐうつ病になったんだと思います。

真面目な人は何かと溜め込んでしまいがちになるんでしょう。

先輩は仕事辞めたいと常々強く思いながらも、真面目だから誰にも言えず仕事を頑張るしかなかったんです。

先輩だから僕たち後輩にかっこ悪いところを見せられないという勤勉さと、それに伴うプライドもあったんだと思います。

だから、余計に溜め込んでしまう。

酒の席で「辞めたい」と漏らしたときには、もう限界をとっくに超えていたんです。

我慢ができないけど素面だと我慢するしかないから、記憶が一部飛ぶほど飲んだあのときにしか口にできなかった。

そう考えると、一ヶ月でうつ病を発症したとしてもおかしくありませんよね。ずっと潜伏期間があったようなもので、急に発症したのではなく「溜め込んでいたものが出た」という感じ。

じわじわと先輩の心は蝕まれていったんです。

大事なのは、誰かに伝えること

僕は結構単純で「辞めたい」と強く思ったら「辞めたい」と言うので、それ自体がストレス発散になってくれたから、うつ病にはならなかったんだと思います。

発症する前に転職してしまったからかもしれませんが、それでも全く誰にも言わなかったらうつ病手前だったかもしれません。

先輩を見ていて思ったのは、伝えることの大事さですね。

よく社会人の心得として「ほう・れん・そう」ってあるじゃないですか。

報告・連絡・相談。これは別に業務連絡でなくたって、自分が仕事に対してどう考えているかとか、職場で悩みはあるかとかそういう個々の内面のことだっていいんじゃないでしょうか。

それを伝えることで、うつ病発症は免れることができるかもしれない。

そう考えると、僕ら後輩は先輩の出せないSOSサインにもう少し早くに気づいていられていれば結果は変わったのかなと少し後悔もしますけどね。

でも、やっぱり伝えないことにはわかりませんから…。これをハッキリ大声で言いたいんです。

「仕事辞めたい」思いを溜め込むと、体と心に毒だぞ!!!