過酷だね、グラフィックデザイナーの仕事は。

「クリエイティブな仕事? いやいや、僕らはただクライアントの意向に沿うものをつくるだけさ」と、僕の知り合いは語りました。デザインしていることは確かだけど、そこに自分の意思と趣味趣向・思想はほとんど介在しないため、なんだか釈然としない気持ちになるんですよね。

しかも、結構仕事は忙しい…。

新卒入社して1年目だけど、グラフィックデザイナーの仕事を辞めたい! 僕の知り合いも、そう語りました。彼の話を紹介するとともに、グラフィックデザイナーの転職について考えてみましょう。

新卒1年目で辞めた知人の話

僕の知人は、某造形大のデザイン系の学部を卒業した後、新卒でデザイン事務所に入り、グタフィックデザイナーとして働き始めました。最初の2ヶ月ほどは先輩の下に付いて仕事を学び、その後は実際に小さな案件から一人で仕事をするようになったんです。

最初の仕事は楽しんで進めていました。それなりに忙しかったし大変だったけど、好きなことだからと考えると楽しめたんです。そうして初仕事を終えて上司に提出…したものの、ダメだしの嵐。

それがただのダメ出しなら彼は謙虚に受け止め、その後も何食わぬ顔で仕事を続けたはずです。

しかし、そのダメ出しは彼の感性や思想自体を否定するものでした。

「新人だからわからないかもしれないけど、君の思想・趣味趣向は反映させなくていい。クライアントに求められているものを、求められているように再現するのが僕等の仕事なんだ。僕等が行うデザインというのは、クライアントが頭で思い描いている抽象的なイメージを、ほんの少しの付加価値を加えて具体的に再現することに過ぎないんだよ。」

僕は、その話を聞いて「正論だなあ」と感じました。だけど、それは僕がクリエイティブな技術を学ばなかった営業職だからという話。

技術を学べばこだわりが生まれるもの。

ただ、そのこだわりが仕事の邪魔になると言われたわけです。そこからは、自分を殺して仕事をする毎日が続きました。だけど、自分を殺しすぎると「技術さえあれば誰にでも出来る仕事」に感じられるんですよね。

だから、彼は仕事が楽しくなくなりました。

楽しいからと誤魔化されていた仕事の忙しさが容赦なく彼に襲い掛かり、事務所に泊まり込むことも増え「何のための仕事か」と自問自答する暇すらなく…。

最終的に、自分を殺しすぎた彼のデザインは採用されなくなりました。どれだけ考えても良いデザイン・レイアウトが思い浮かばず、腹を痛めて生み出したものも没にされてお蔵入り。そんなだから、給料も安い。

「どうしたらいいんだ!」とわからなくなり、飛び出すようにして仕事を辞めたわけです。

成功するデザイナーとは何だろう?

新卒入社1年目、グラフィックデザイナーを辞めたいというあなた。あなたは、デザイン自体が嫌いになりましたか? どれだけ好きだったことだとしても、仕事にしてしまうと嫌いになる人は一定数います。僕は多分、そのタイプです。

そのタイプの人間なら、一度グラフィックデザイナーをはじめとするデザインの仕事全般から身を引いた方が、デザインが好きな自分を取り戻し幸せになれるでしょう。

ただ、別にデザイン自体は嫌いじゃないという人はどうだろうか。

心のどこかで、まだ「成功したい」という気持ちがある人も多いのでは? だけど、今の仕事を続けて成功する保証はないし、今いる会社や事務所の待遇や過酷さなどが変わるわけでもありません。だから、辞めたいと思う。

じゃあ、成功するデザイナーとはどういう人だろう?

一度デザイナーから離れた知人が語るには、「自分はクリエイターではないと割り切りながらも、いつかはオリジナルのものを作りたいと夢見て、どれだけ砕かれようとしても、謙虚にその姿勢を保っている人」が成功するデザイナーだそうです。

グラフィックデザイナーとして作った広告が、自分個人の作品として見なされる日が来ると信じる人。

デザイン界隈の人間の中で、「この広告はこの人が作った」というような話が出回ることがありますよね。広告を出す会社からの依頼として作ったのに、デザイナー個人の作品のように語られる。

デザイン業界じゃなくても、コピーライターなどにもよくあることです。広告コピーという企業の依頼のものなのに有名な人、結構いますよね。糸井重里とか仲畑貴志とか…。

日々、クライアントの依頼を忠実にこなす仕事をしながらも自分の感性を磨き、研鑽し続けられる人が成功するんだなあと、僕も思います。

そういう人は、まだ辞めるべきじゃないんでしょうね。少なくとも、新卒1年目で辞めるには早すぎる人材だと思います。その夢を捨てきれないなら、折れてしまった僕の知人や諦めてしまった人、嫌いになった人よりもそれを叶えられる可能性が高いですから。

逆に、「もういいや」と思ったり、「デザインするのも嫌になった」と考えたりしている人は、辞めたほうがいいでしょう。

また、諦めきれない人には「別の会社・事務所に移る」という選択肢もありますよ。

新卒からグラフィックデザイナーを辞める! オススメの転職先は?

僕が一番オススメしたいのは、自分が興味あるものの商品企画の仕事。

商品企画も、物によってはデザインの仕事と言えるわけですが、商品企画はグラフィックデザインの仕事よりも自分自身の思想や趣向を反映させやすいようです。僕の知人も、転職先は商品企画でした。

というか、「デザイン学んでいるし、商品企画ね」と言われたそうです。業界はファッション業界だったようで結構な畑違いなわけですが、だからこそ仕事内容も全然違っていて「なんだ、デザインやっぱり楽しいな」と思えるようになった様子。

第二新卒からだから、業界の鞍替えは比較的簡単です。

デザイナーとして働いた経験というよりも、デザインを学んだという技術の方を重視する会社が結構たくさんあるため、新卒入社1年目からの転職だとしてもデザイン技術を活かして転職活動を行えますよ。

また、どんな業界の商品企画にもデザインの仕事はあります。

グラフィックデザイナーは辞めるけど、商品企画としてデザインにも関わるというのは面白いと思いますよ。何よりも、デザイン以外の仕事も経験できますからね。仕事の幅も考え方の幅も広がり、勉強になります。

商品企画にピンとこないなら、営業職に回るという選択肢もありますよ。

ただ、第二新卒を必要とする求人を探すのは苦労するでしょう。

転職エージェントを使い、第二新卒を必要としている商品企画の求人を探す必要がありそうです。転職エージェントなら比較的条件のいい求人も多いし、サポートも受けられるから転職が成功しやすいのでオススメ。

グラフィックデザイナーは辞めないけど会社・事務所は変えたいという人も、転職エージェントを使うべきです。

過酷な仕事を辞めて、自分を活かせる場所に行こう!

ただの社畜になり下がると、デザイナーとしては死も同然ですよ。