「年俸制だから残業代が出ない」というのに疑問を持っている方いませんか?

なんだか近年多くなっていますよね、年俸制。年俸制を導入している職場の話を聞いたり、そういう求人を見たりする度に心の中で「野球選手かよ」とツッコミを入れている僕です。

別に年俸制自体に悪を感じているわけではありませんよ、決してね。年俸制にもメリットがありますから。そのメリットを感じて導入するということであれば、何の問題もありません。

ただ、年俸制で残業代が出ないというのは、ちゃんちゃらおかしい話だぜ…というのを僕は伝えたいんです。今回は、そんなお話――。

年俸制のメリットとは?

否定的な話をする前に肯定的な話をします。

年俸制のメリットとは何か!?(会社側)

  • 仕事の成果で給料を決めることができる
  • 目標設定と達成度に関して、職場内で話し合いの機会を設けることができる
  • 社員のやる気がアップする

年俸制は、実力主義の象徴のような給与制度です。前年の給料や仕事の成果などを基にして、上司と部下の話し合いによって年俸は決定されます。そこに年功序列や労働時間の長さは関係ないため、実力主義の会社としては導入する意味がとても大きいんです。

また、話し合いによって決定するため上司と部下が仕事の目標に関して語り合う機会が生まれます。上司と部下の目的意識の共有により、お互いに仕事がしやすくなるだけでなく一体感も生まれるんです。

そして、今年の成果が来年の給料に反映されるため、社員のやる気もアップする。

以上が会社側の考える年俸制のメリット。それじゃあ労働者側は?

年俸制のメリットはこれだ!(社員側)

  • 短期ローンが組みやすくなる
  • 上司と話し合う機会を持つことができる
  • 仕事に張り合いが生まれる

今年入ってくる給料が全て決定しているので、1年間の短期ローンが組みやすくなります。自分自身も返済計画が立てやすいし、貸している側としても今年の返済が保証されているので安心できますからね。

また、上司と話し合う機会を持つことができるというのは会社側だけでなく社員側にとってもメリットがあります。上司と話し合いたいことがあっても、距離が遠くてなかなか話し合えないということも多いですから。

仕事に張り合いが生まれるのも、気分的に大きなメリットですよね。

以上が、年俸制のメリットです。これを把握した上で「年俸制と残業」の関係を見てみましょう。

年俸制は残業代が出ない? わけはない!

「年俸制には残業代が適用されないよ」と語る人が多いですが、それは誤解です。

労働契約上の年俸制というのは、他の給料形態と変わらず労働基準法が適用されます。労働基準法が適用されるということは、時間外労働に関しては残業代を払わなければならない義務があるということです。

どうして、年俸制は残業代が適用されないという誤解が広まったのでしょうか。

冒頭で僕は「野球選手かよ」と呟きましたが、誤解が広まった理由はまさにそこにあります。年俸制のイメージは「野球選手」ですよね。野球選手は残業代が貰えない…ということは、年俸制は残業代を支払わなくてもいいのか。

という理屈。

ただ、プロ野球選手が残業代を貰うことがないのは年俸制とは何も関係がないんですよ。彼らは労働契約ではなくて請負だと考えられていますから。球団に管理されている場合は労働制が強いと判断されるため労働契約と認められますが、だからと言って彼らは残業代の請求をしません。

そもそも残業している意識なんて無いだろうし、立場が弱い選手はその請求がきっかけで契約更新されないのではないかという危険がありますからね。

だから、プロ野球選手の残業代云々と年俸制の残業代云々は無関係なんだよ!

また、年俸制は最初に年収を決めておいて12分割でそれを支払うという定義からも誤解が広まっているんだと思います。

最初に決めるということは、残業代は? 払わなくてもいいのかもな。

そういうことです。

でも、払わないとダメ。

残業代が出ない職場から転職しよう

年俸制かどうかは関係ありません。ただ、残業代を出さない職場が悪なんです。

残業代を出さない職場からは転職して、残業代を出す職場に就職しましょう。そこで最初に考えるべきなのは「年俸制にこだわるかどうか」です。

年俸制にはたくさんのメリットがあります。自分の実力を正しく評価して年収に反映してくれるというのはとてもありがたいことですからね。ただ、最近では年俸制の本来の意味が形骸化して「年俸制だけど成果に関わらず年収が低め」というところもあります。

そういう職場や残業代が出ない職場を避けて、年俸制の会社を探さないといけません。

ただ、それは年俸制以外を選んでも同じことです。給料が低いところと残業代が出ないところを避けるのは、転職活動共通のテーマですから。

年俸制の方が全体数が少ないというだけのことです。

どちらを選ぶにしても、職場選びが重要。その方法は?

年俸制を導入している「良い会社」を見分ける方法は?

残業代に関して、労働基準法にはある程度の抜け穴があります。会社側はその抜け穴を利用して社員にサービス残業をさせているんですが、その逆を突けば残業代を出さない会社をある程度避けることができるんです。

その抜け穴がこちら!

  • 裁量労働制、みなし残業
  • 管理監督者
  • 個人事業主

裁量労働制は最初から給料に残業代を含んでおくというものですが、基本給を低く設定して残業代を含ませることで誤魔化すというのがこの給与形態の抜け穴。年俸にあらかじめ残業代を含ませるということですが、これは完全な抜け穴ではありません。

予め含ませた残業代分の残業時間を超えたら、追加で払わないといけないから。ただ、追加で払わない会社が多いんですよね。どちらにせよ、避けておくのが無難です。

管理監督者に関しても「年俸制は管理職にのみ適用する」とすれば、残業代を払わない理屈が通ります。ただ、管理監督者として労働基準法で認められるケースと実際に管理職として会社が語っているケースとは食い違っていることも多いです。

名ばかり管理職を増やして年俸制を導入し、残業代をケチっている可能性が高い。

また、個人事業主扱いにして年俸制を導入している会社も残業代が出ません。個人事業主扱いだと委託関係のようになりますからね。名目上は「会社に常駐している委託先の個人事業主」ということになります。

スポーツ選手と少し似たイメージですね。

以上三つを出来るだけ避けるようにすれば、悪質な職場をある程度避けることができます。ただ、これだけだとまだ盤石とは言えません。

盤石にするには?

自分で「こういう職場を避ければいい」という知識を持つことは大切ですが、転職活動は一人だけで行うと失敗する危険が高いです。今では転職エージェントという無料で転職サポートをしてくれるサービスがあるんだから、使わない手はありません。

転職エージェントで希望の待遇を伝えることで、自分のスキルや経験から叶えられる範囲でその希望を叶えられる求人を探してきてくれます。年俸制でも悪質な会社の求人を避けることができるんです。

その上先ほど紹介したようなケースの求人に対して、疑い深く担当キャリアコンサルタントに質問して職場の実態を把握すれば、残業代を出さない職場対策は盤石になりますよ。

年俸制は悪ではないが、年俸制は誤解されがち。

実力主義を重視して働くなら、年俸制を正しく把握している会社じゃないとね。

自社の導入する制度を把握できていない会社が、社員の成果を正しく把握できるとは思えないから。