マンションフロントマンを辞めたいと感じるのなら、まずは自分が抱いている悩みを整理しましょう。
人によってさまざまな悩みがあると思います。悩みによって、どのような仕事が転職先候補になるのかが変わってくるんです。だから、あなたの悩みを一度整理する必要があります。
そのうえで自分自身に備わっている能力を知ることで、「悩みを解消しながら能力を活かせる仕事」に転職できるのではないでしょうか。
そこで、マンション管理会社のフロントマンの悩みや職能を解説し、おすすめの転職先候補を紹介したいと思います。
よくある「マンションフロントマンを辞めたい理由」
1.住民対応と責任問題が辛い
マンションの住民対応は確かに辛いですよね。
「変な音がするから確かめに来てくれ!」
「地域の催事の日程を教えてくれ!」
あれをしてくれ、これをしてくれ…。次々に頼まれるけれど、それらは本来業務には含まれないことが多いですよね。フロントマンはコンシェルジュじゃないぞ! コンシェルジュサービスが欲しければもっと高いマンションを…と僕なら言ってしまいそうです。
良識がある住民ももちろんいるけれど、一部の非常識な人のせいでストレスがたまってしまいますよね。
また、管理しているマンションで何かトラブルが起きればフロントマンの責任にされます。
住民からも会社からも責任を追求される。
そのストレスも尋常ではないでしょう。
このままでは、ストレスが爆発して精神的に病んでしまいかねません。
今から転職活動を始めておくべきではないでしょうか。
2.管理会社と管理組合との思惑の違いが辛い
マンションフロントマンも、サラリーマンです。
当然、雇用主である管理会社の意志を尊重しないといけません。ただ、管理会社と管理組合とは考えや思惑が異なるんですよね。
管理会社は「利益を追求」したがり、管理組合は「節約」したがります。
その相違に違和感を覚えたり、板挟みになって辛かったりする人もいるでしょう。
管理組合から「もう少し管理委託費を削れるのでは?」と言われることがありますよね。
管理組合に対して誠実に仕事がしたいと思っている人ほど、そう言われると辛い思いをします。組合の人のためを思えば「削れるところは削りたい」と考えますよね。
だけど、会社からは利益追求のため「(実際は削れるけど)削れない」と言われてしまいます。
ここに違和感と板挟みの辛さを感じるのでしょう。
この違和感と辛さは日増しに大きくなるだけで、今の会社にいても解消される可能性は低いです。
あなたがもし、「顧客に対して誠実でありたい」「会社のためではなく、世の人のために仕事がしたい」と思うのなら、転職をしたほうがいいのではないでしょうか。
3.圧倒的激務!
マンション管理会社のフロントマンは、激務です。
そうなるのには、さまざまな理由があります。
まず、理事会や総会です。
理事会や総会は平日の夜や土日祝に行われることが多いですよね。そのため必然的に残業になるし、休日出勤にもなります。
さらに、普段からマンションフロントマンの仕事は多いです。
管理組合との折衝をして、住民からの問い合わせ等にも対応します。理事会や総会の運営をして、建物の設備維持管理もしなければなりません。そのうえ、事務作業まであるわけです。
たくさんの業務を抱えすぎているため、優先順位が低い事務作業を後回しにし、残業をしなければならなくなるというわけです。
このまま激務で私生活を犠牲にし続けるのは、精神的にも体力的にもよろしくありません。
転職したほうが、趣味の時間が取れるし家族の時間も取れるし、楽しく生きられるのではないでしょうか。
マンション管理は潰しがきかない職能なのか?
マンション管理の仕事を調べていると、ネット上で「潰しがきかない」という意見を目にしました。
しかし、これは間違いです。
マンション管理の職能は、潰しが利きます。
実際にマンション管理の能力を活かしてどういう仕事ができるのかということは、次の章で語りましょう。
まずは、マンション管理の職能にはどのようなものがあるのかを簡潔に紹介します。
- コミュ力
- 折衝能力
- 管理能力(マネジメント能力)
- 事務処理能力
- 運営力
運営力とはどういうことかがわかりにくいと思うので、簡単に説明しましょう。
運営力というのは、業務を円滑に進めるために必要になる能力です。
理事会や総会を円滑に進めるために事前準備をしたり、状況を見ながら適切なタイミングで話を振ったりという工夫をしている人がいると思います。
それらの工夫ができるということが、「運営力がある」ということです。
次の章では、以上のような能力を使ってどのような仕事に転職できるのかを紹介します。
マンション管理会社からの転職先候補まとめ
1.営業職
営業職は、マンション管理の仕事で培った「コミュ力」「折衝能力」を活かせます。
営業をしているとさまざまな立場の人と関わりますからね。
顧客との折衝、営業に協力してくれている人たちとの折衝、下請けとの折衝などなど…。
さらに、マンションの住民のように非常識なことを頼んでくる人はあまりいません。
法人営業をする場合は特にそうです。営業として関わる人のほとんどは、「仕事中の人たち」ですから。
仕事をしている以上は、社会的な常識を外れたことをすれば、その会社の評判が落ちます。だから、非常識なことや理不尽なことはマンション管理に比べれば起きにくいんです。
そのため、営業職は能力を活かしながらマンション管理の「住民対応」に関する悩みを解消できる仕事だ、と言えます。
2.一般事務
一般事務はマンション管理会社のフロントマンを辞めたい理由の多くを、解消できる可能性がある仕事です。
まず、一般事務には折衝ごとがありません。
来客対応をする会社もありますが、来客対応なしの会社も多いです。会社選びを怠らなければ、折衝ごとに関する悩みを解消できます。
当然、何かと何かの間に板挟みになることもないでしょう。
さらに、一般事務の仕事の種類はそれほど多くありません。
書類作成と管理、データ入力、郵便物の仕分けや発送がメインです。
ひとつひとつの作業には、慣れればあまり時間がかからなくなります。
作業量は会社によりけりですが、事務職は全体的に残業が少ない傾向があるんです。
dodaの残業時間ランキングによると、一般事務の残業時間は月に12.2時間が平均となっています。
以上のように、一般事務はマンション管理会社を辞めたい理由をまるっと解消できる仕事だと言えるのではないでしょうか。
3.イベント制作会社
マンション管理のさまざまな職能を活かせば、イベント制作会社への転職が有利になる可能性が高いです。
イベント制作会社の仕事は、あらゆるイベントの企画と運営。
企画時にはさまざまな業者と打ち合わせをします。その際、理事会や総会での立ち回り方や折衝能力などを活かせるでしょう。
さらに、イベントの企画と運営にはスケジュール管理、予算管理、人員管理などが必要不可欠です。
そのために、マネジメント能力が求められます。
そして、イベントをスムーズに進めるための事前準備をしたり、現場で人に指示を出したりしないといけません。運営力が必要な仕事とも言えるんです。
以上のように、イベント制作会社の仕事に求められる能力の多くを、マンション管理会社で働くフロントマンは持っていると考えられます。
そのため、マンションフロントマンはイベント制作会社への転職に有利になる可能性が高いんです。
4.人材コーディネーター
マンションフロントマンのマネジメント能力と折衝能力とを活かせば、人材コーディネーターへの転職に有利になります。
人材コーディネーターの仕事は、「人材が欲しい企業」と「仕事が欲しい求職者」とをマッチングすることです。
企業と求職者との間に立つため、折衝能力が必要不可欠と言えます。
そして、実際に求職者が働き始めると「人材管理」が必要になるんです。
具体的に言えば「シフト管理」「労務管理」「(場合によっては)メンタル管理」などですね。
それらを、人材派遣先企業と協力して行います。
だから、マネジメント能力を活かせるというわけです。
マンションフロントマンは、人材コーディネーターに必要な二つの能力を持っています。
そのため、人材コーディネーターへの転職に有利と言えるのではないでしょうか。