責任が重い割には報われることがそう多くはなく、最近は逆パワハラというものまである管理職…。管理職になりたくないと思う人や、管理職を辞めたいと思う人が多いのも頷けます。

実際、僕の知り合いにも「俺は管理職に向いてないから降りたい」と、管理職を降りた人がいるんです。

そこで、その人に相談された経験から「管理職は嫌だ」と感じている人に、解決の糸口を紹介したいと思います。

とある元「管理職」の苦悩奮闘記

これは、僕の知り合いの「元中間管理職」イトカワさんの物語です。

「これより君は営業所長だ」と、元居た営業所とは違う営業所にイトカワさんは栄転になりました。周囲は「お前が管理職か! 実感わかないなあ」とはやしたてますが、イトカワさん自身もまた実感がわいていなかったんです。

それどころか「最近は逆パワハラもあるみたいだしな」「責任が重いの辛いな」などの不安が先行し、心が重くなっていました。

そして、営業所長として配属後…。

某営業所には、部下が思い通りに動いてくれないことに悩むイトカワさんの姿がありました。イトカワの元上司は「命令すれば部下は動く」と言っていたんです。だけど、今時そんな物分かりの良い部下ばかりじゃなく、「命令により嫌々動きはするが、自分のパフォーマンスを発揮してくれない」ことがイトカワさんの部下には多かった。

無論、そんな状態で成果が上がるはずもなく…。

イトカワさんは本部から「お前の営業所は成績が悪いぞ、もっと頑張れ」とせっつかれます。

そこでイトカワさんは厳しく部下に接することにするも、部下に嫌われてしまい、部下からの報連相が少なくなっていったんです。報告内容もおよそ真実とは思えず、部下が本当のことを言わないためにミスをすることもありました。

そして、厳しいだけではダメだと気付いたんです。

部下のために自らが頑張るという意識でイトカワさんは動きましたが、部下には「それが上司として当然の仕事」という態度で接されてしまう。それでも部下が大きな案件を持ってきたときには、それを手伝い、契約にまで結び付けた!

やっと上司らしいことができたかもしれないとイトカワさん大喜び。その日は行きつけのラウンジでシャンパンボトルを開けまくったそうです。

しかし、翌日、その部下に「イトカワさんに手柄を横取りされた」と陰口叩かれているのを聞いてしまい、喜びはシャンパンの泡のように消えてしまいます。残るのは二日酔いと「どうしていいかわからない」という体と心の重さだけ。

そこに、優秀な部下が職場を去るという出来事。

厳しく突き放して命令してもダメ、手伝ってもダメ。

責任が重いし、部下は難しい奴らだし…。

「俺には管理職は向いてない、降りたい、辞めたい」

会社と相談し、降職してもらうことにしたんです。「管理職あるある」を凝縮したかのような失敗経験に、イトカワさんの心は完全に折れてしまいました。

管理職を降りる/昇進を断ることにはデメリットがある

管理職が嫌なら、管理職を降職したり、昇進を断ったりするという対処法が真っ先に思い浮かぶかもしれません。

実際、イトカワさんも管理職を降りるという選択肢を取りましたから。ただ、イトカワさんのその後を見ていると…それにもデメリットがあるということがわかったんです。

  • 会社に居づらくなる
  • 昇給が難しくなる
  • 断っても認めてくれないことがある

まず、確実に会社に居づらくなります。

イトカワさんの場合は特に、「管理職として働いていた営業所」にそのまま残ったので、あまりにも気まずかったんですよね。新しい営業所長は別のところから配属されたからまだマシだったかもしれませんが、他の社員の輪から外され、ヒソヒソ話をされ、腫物扱いを受けて…。

仮に異動したとしても、会社からは「折角チャンスをやったのに…」と明らかに嫌な顔をされるわけですよ。

人事、総務など他部署に行くときにも「管理職を降りた人(断った人)」というイメージは付いて回ります。

また、それは働きづらくなるというだけじゃなく、昇給が難しくなるというリスクにも繋がるんです。「管理職を降りた人間」として評価が下がった状態からリスタートになるわけだから、これまでは順調だった昇給が急に滞ることになりかねません。

事実、イトカワさんはその後「ほとんど給料が上がらなくなった」みたいですし…。

そして、そもそも「管理職になるのを断ること」「管理職を降りること」を認めてくれないこともあるんです。会社としては「管理職にするのが正当なこと」であり、「断る/降りるのは正当ではないこと」であるという認識があります。

よほど正当な理由でない限り認められません。

イトカワさんの場合は「自分が配属されてから成果が思うように上がっていない」ということから、降りることに正当性があったため認められたんです。

管理職を降りることや、昇進を断ることは、今回の対処法としてあまり適切ではないと僕は思います。

対策は「転職」しかないけれど…考えてみて欲しいことがある

管理職になりたくない人や管理職を辞めたい人が取るべき対策は、転職しかありません。ただ、転職をするとしても絶対に付きまとってくる問題があるんです。

1.給料に関して考えてみて欲しい

管理職を辞めて平社員として転職するのなら、給料が下がることがあります。

ただ、ここで「給料が下がるのが当たり前だから、給与交渉なんて…」とネガティブ一直線に考えてしまうのは危険です。

給料は管理職の水準よりも下がるものの、同じ業界・同じ仕事であれば能力やキャリアを武器にすることで平均より高い給料を得ることができます。だから、給料が下がるという覚悟だけはしておく必要はあるかもしれませんが、「なるべく大幅に下げないようにしよう」という意識も同時にもっておいてください。

2.そもそも「転職」するか決める前に考えて欲しいこと

これが一番考えてみて欲しいことです。

転職先で昇進させられる可能性がありますよね。

特に「現在管理職として働いている人」の場合は、職務経歴書に役職を記載するため、管理職経験があることは人事が把握することとなります。そうすると、人事としては「ゆくゆくは管理職に」と期待することでしょう。

職種自体を変えて転職したとしても、それは同じです。

そのときにはまた、転職しますか?

ただ、それはあまり現実的ではありませんよね。昇進という言葉が出た途端に転職を繰り返すと、経験を積めば積むほどに転職回数が増えていくことになり、そのうちに「キャリアはあるのに転職が多すぎて転職市場で相手にされない人」になってしまうのではないでしょうか。

じゃあどうすればいいのか。

いつか管理職になるときのために、自分が「頑張れる」ような会社や仕事を選べばいいんです。

その条件は人により異なります。

部下がクソだったり、逆パワハラがあったりするのが不安というのなら、人間関係が自分と合う職場に転職することで「頑張れる」と感じるのではないでしょうか。責任が重いのが辛いから管理職になりたくないという人は、その責任を背負えるくらいにやりがいのある仕事を見つけることができたら、「頑張れる」と思います。

そのようにして、自分が「どうして管理職を辞めたい/管理職になりたくないと思っているのか」を分析し、その理由を解消するためにどうしたらいいかを考えることで、「管理職になっても頑張れる転職先」と出会えるのではないでしょうか。

その考えに気づいてから、僕は元管理職のイトカワさんに転職を勧めたんです。

会社に居づらくなっていたイトカワさんはすんなり転職を決意し、平社員としてのリスタートを切りました。イトカワさんと価値観を同じくする社長がいる小さめの企業で、自分の仕事が企業運営に明確な影響を与える環境に、やりがいを持って働いているみたいです。

今は、「この会社でなら…管理職になったとしても、もう一度頑張れると思う」と前向きに語っています。

転職エージェントで自己分析とスキルの棚卸をしよう

管理職になっても頑張れる転職先を探すには、自己分析が大切です。

そして、職種自体を変えることになったとしたら面接でアピールするための能力・経験などを棚卸する必要があります。職種は変えずに転職するとしても、給与交渉をひとりで行うのは難しいのではないかという不安がありますよね。

そこで活用したいのが、転職エージェントです。

転職エージェントに登録すると、キャリアアドバイザーという「キャリア支援に関する専門家」が担当者として付きます。キャリアアドバイザーは、利用者からの相談を聞きながら、カウンセラーのように、あなた自身が気づいていないところまであなたの気持ちを分析してくれるんです。

また、面接でアピールできるような能力やスキルの棚卸も手伝ってくれますし、給与交渉をキャリアアドバイザーに代行してもらうこともできます。

そうして「管理職になったとしても頑張れる転職先選び」を楽にすることができれば、悩んでいる今よりもずっと良い将来が待っているのではないでしょうか。