自衛隊は、辞めていく人がとても多いです。

脱柵者なんて出るくらいですからね、辞めたがっている人はとても多いということですよ。自衛隊という組織と性格が合わないとか、先輩が鬱陶しいとか仕事内容が嫌だとか激務だとか、心身ともに辛く集団生活に疲れたとか…。

不平不満なんて、いくらでも出てきますよね。

民間企業で働いている友達とたまに会ったりすると、「いいなあ自由で」と羨ましくも感じられるでしょう。隣の芝は青いと言うけれど、隣の芝だろうとなんだろうと、自衛隊よりは良いはずだと思うのも無理はありません。

ただ、自衛隊を辞めたいと思うのなら、注意すべき点もあります。考えなしの丸腰では、自衛隊を辞めてハッピーな転職をすることなんてできません。

民間企業への転職を成功させるための注意点と転職先の見つけ方を解説したいと思います。

脱柵、ダメ、絶対

自衛隊を辞めたいですと伝える勇気が無かったり、引きとめられてすんなり辞められなかったり、人によって状況は様々ですが、脱柵と呼ばれる脱走行為をする人がいますよね。それくらい辞めたい気持ちが強く、追い詰められているということですが…。

脱走なんてまるで戦争映画のようだなあ。冗談は置いておいて、脱柵だけは絶対にやめましょう。

辞めたい気持ちを伝える勇気が無いなら振り絞れ!
引き止められても気にするな、説得しろ!

脱柵した後、他の隊員にどれだけ心配と迷惑をかけるかを考えましょう。所在不明隊員として捜索対象になり、実家やその近辺を捜索しなくてはならなくなるんです。命令任務がしばらく中止になるんですよ。他の隊員が捜すのをやめた後でも、教育隊なんかは必死に探すことになります。

自殺していたら?
失踪したのでは?

隊員の間に色々な憶測が飛び交い、本当に心配をかけるんです。

また、脱柵者の捜索にかかった費用は脱柵者本人の負担になります。脱柵したら、デメリットだらけです。何も良いことはありません。脱柵だけは、ダメ、絶対。

任用一時金

自衛官候補生として入隊すると、候補生教育終了時「任用一時金」が支給されますよね。

もしも、あなたが任官後1年3ヶ月未満で自衛隊を辞めようと思っている場合は、要注意です。その場合、任用一時金を返却しなければならなくなります。任官から離職までが早ければ早いほどに、返却割合は大きくなるので注意。

任官後、3ヶ月未満で辞めた場合は全額返却。3ヶ月以上7ヶ月未満なら75%、7ヶ月以上11ヶ月未満なら50%、11ヶ月以上1年3ヶ月未満だと25%…。4ヶ月ごとに25%ずつ割合が減っていきますが、返さなければならないことに変わりはありません。

任用一時金を返さないといけない場合にあたる人は、注意してください。出来るならば、返却義務が発生しなくなってから辞めたほうがお得です。今すぐ辞めたい気持ちがあるでしょうが、ここはグッと辛抱したほうが良いでしょう。

自衛隊から民間企業、大丈夫?

自衛隊から民間企業への転職は可能です。ただ、それよりも、民間企業でやっていけるのかという心配をする必要があります。民間企業は自由で楽しくやりがいもあるように、その目には映っているかもしれませんが、民間企業は民間企業で大変です。

企業は、戦場。

自衛隊が潰れることは考えられませんが、民間企業はガンガン潰れます。ガンガン潰れて、どんどん新しい会社が出来ての繰り返しで、民間企業の社会は成り立っているんです。要はライバル会社との戦争をしているようなもの。

ただ、一般的なサラリーマンはライバル企業と戦っているんじゃない。

自分の会社と戦っているんだ。

同僚間での出世競争や、嫌な上司との人間関係、ブラック待遇な職場…あらゆる面でサラリーマンは戦っています。本当に信頼できる人間など職場にはおらず、心身ともにすり減らし、命を削ってお金を稼ぐのがサラリーマン。

そしてその土壌は、決して安定しているとは言いがたく、近年では正社員でも安心できないような情勢です。

自衛隊は、国家公務員で非営利団体。他人を蹴落としたり、他人に蹴落とされたりということもなく、誰よりも稼がないといけないということもありません。自衛隊という組織は統制こそが美であり、他人と違うことをすることを良しとしない。

ただ、民間企業は他人と違うことをして、他人を出し抜いてこそといった風潮があります。

利益を追うのか追わないのか、国家組織か民間組織か、これらの違いというのは案外大きいですよ。組織の本質が丸っきり逆だと言ってもいいくらいです。だから、隣の芝が青く見えるだけの安易な気持ちで民間企業への転職をするのは、オススメできません。

民間企業への転職は、自衛隊に入隊したときと同じくらいの覚悟が必要です。

「それでも僕は辞めたいんだ!!」

断固としてそう言える人にのみ、僕は転職をオススメします。

民間企業の転職先、どうやって見つける?

退職する自衛官に向けて、再就職を支援する就職援護というシステムが自衛隊にはあります。

自衛隊を辞めるなら就職援護を使うべきだろうなあとおぼろげに考えている人は、とても多いんじゃないでしょうか。確かに就職援護を利用すると、転職しやすいです。後ろ盾があって、支援してくれるんだから、自分で転職活動をするよりも楽で早いでしょう。

ただ、職種に限りがあるのが唯一の難点と言えます。

『退職自衛官雇用ガイド』の退職自衛官の職種別就職状況を見てみると、生産・工員の仕事に就いている人が退職陸士の44.6%を占めているんです。次に多いのが操縦手で11.6%、その次が販売・外交で10.9%、次に保安・警備で9.9%。こうして職種を見てみると、気づくことがありませんか?

ほとんどが、体動かす関係の仕事じゃんか!

「サラリーマン」と聞いてイメージするような仕事は、販売・外交くらいでしょうか。

ただ、生産や製造に興味がある人にとっては良い傾向ですよね。事務や営業といった仕事がしたい人にとっては微妙ですが、自分の興味のある職種と就職援護の実績とを照らし合わせて、就職援護を利用するかどうかを決めれば良いと思います。

就職援護を利用せず、自分で転職先を見つける方法もあるのだから。

自分で転職先を見つける方法

ハローワークを一番に思い浮かべる人が多いと思いますが、転職先探しに使えるのはハロワだけではありません。今ではインターネット上で様々なサービスが展開されているんです。

特にオススメなのが、転職エージェント

これは、就職援護のようなものと言えばわかりやすいでしょうか。あなたの希望条件に合う求人や、あなたが転職できそうな職種の求人などを代わりに探してくれるサービスで、求人探し以外も転職活動のアレコレを手伝ってくれます。

応募書類の書き方指導や添削、面接対策、職場の実態調査などなど…。

転職を成功させるための支援が充実しているので、一人で転職活動するよりも成功率が上がりますよ。僕も転職エージェントを利用して、働きながら転職を成功させました。以前はブラック企業勤めで命を削りまくっていましたが、今はホワイト企業で命を使って仕事をしています。この削ると使うの違いは、結構大きかったですねえ。

転職エージェントを利用すれば、就職援護のように支援を受けながらも自分好みの仕事を見つけられるというわけです。そして、ホワイトな職場選びにも役立ちます。

就職援護を使わないという人には、オススメですよ。

任期満了を待つか、待たないか

自衛隊の採用は近年では任期隊員が主流で、多くの人が二年1任期として働いています。二年ごとに契約更新か除隊かを選択できるという、民間企業で言うところの契約社員ですね。任期隊員であれば、任期満了を待って転職をするという手もありますが、人によっては任期を待たず転職した方が良いでしょう。

任期満了が半年未満に迫っているなら、待ったほうが良いです。

任期満了まで半年以上かかるのであれば、待たなくても良い
と思います。

任期満了まで待ったほうが円満に除隊できることは言うまでもありませんが、だからと言って長い間耐え忍ぶのも辛いでしょう。その間に魔が差して脱柵しないとも限りませんし、一時金を返還しなければならない義務も無いのなら、待たずに転職した方が精神衛生上お得です。

ただし、何度も言うようですが、覚悟だけはしっかり持ってください。

民間企業という戦地に赴く覚悟があれば、転職できますよ。覚悟がなければ、転職しても続きません。