福祉用具の営業、福祉用具専門相談員と呼ばれる人たちは、介護業界の嫌われ役になりがち…。

「専門相談員です」と言うだけで、ケアマネに「営業なんかするな」と言われてしまうこともあるでしょう。ケアマネは何様だ! と思うこともあるかもしれません。

納品屋と揶揄されることもあるこの仕事、辛い部分が多いですよね。嫌われ者というだけでも辛いのに、その他にもいろいろなことがあります。

そんな福祉用具の営業の仕事の辛い部分を分析しながら、辞めるならどんな転職先を狙っていけばいいのか、じっくり掘り下げていきたいと思います。

販売目標達成は、難しい

福祉用具の営業にも、他の会社と同じように販売目標があります。福祉用具を扱うだけで、民間企業ですから当然利益は上げないといけません。

今月はこれだけ福祉用具を販売、もしくはレンタルするというノルマを達成すべく、福祉用具専門相談員は動いています。

ただ、達成が非常に難しいんですよ。

福祉業界は、特殊です。

福祉施設が動かすお金は、民間企業と違ってそんなに自由にはなりません。利用者の感情を優先して、予算を立てていかなければならないんです。特に公営養護施設の場合、そのお金は税金から来てますからね。

近年では一般企業が福祉施設を運営することも増えましたが、福祉施設はほとんどお金になりません。資金源はその会社の他の事業だったりします。社会福祉法人の場合、福祉士の専門学校の売り上げなどから活動資金が出ていることが多いです。

福祉用具の購入やレンタルは、ケアマネを通して行われます。

ただ、ケアマネや職員の一存で決められるわけではありません。

利用者と職員とで話し合って、導入するかを決めます。全員違う感情と価値観を持っていますし、お年寄りの人は新しい物に不信感を示すことも多く、なかなか新しい福祉用具を導入しようとはならないんですよね。

だから、他の商材と比べて福祉用具は売れにくい

資金体系や運営方針など「福祉施設」独特の理由から、どうしても保守的になってしまいますから。

販売目標を達成できず、苦労する人が多いです。給料が下がるということはありませんが、「今日の目標を達成するまで会社に戻るな」と言われたり、なんとなく会社に居づらい雰囲気になったりすることはあります。

ただ、販売目標の数字だけを見れば、他の営業職と比べて特別厳しいこともなく、かといって緩いこともありません。

ただ売れにくいから、結局は達成するのが困難ということなんです。

力仕事が多いのが辛い

営業職は力仕事というイメージはありませんが、福祉業界は力仕事というイメージがありますよね。

介護職は女性が多いですが、その割には「利用者の体を持ち上げる」「重いものを運ぶ」という力仕事が多いです。そういう意味では、福祉用具専門相談員は営業職と福祉関係の仕事のイメージを足して割った感じになるのでしょう。

実際、福祉用具専門相談員は、案外力仕事が多いですよね。

搬入から組み立て、更には撤去までが福祉用具相談員の仕事ですから。

特に電動ベッドなどの大きな福祉用具の場合には、大変です。夏にはギラギラとした炎天下の中ひいひい言いながら搬入・搬出を行うことになり、引っ越し屋さんの気分をちょっとだけ味わうことになります。引っ越しに比べれば圧倒的に楽なんですけどね。

営業職って考えると、辛すぎます。

急に対応しなきゃならないことが多い

介護関係全般に言えることなんですが、利用者は常に「どうなるかわからない」状況に置かれています。元気だったのに急に亡くなってしまうこともありますし、状態がいつ急変するかわからないわけです。

レンタルの場合には特に「亡くなってしまったので、大至急ベッドを引き取りにきて」と、言われることもあります。お通夜をするためにベッドをどかしたいから、即引き取って欲しいということなんですよね。夜遅くでもお構いなしに、呼び出されてしまうんです。

こういった、介護業界ならではの急な対応があるのも辛いところですよねえ。

転職後は営業がしたいのか、介護業界に携わりたいのか

福祉用具専門相談員の辛い部分を語っていて思ったんですが、この仕事は営業職と介護職の両方の特徴が合わさっています。

力仕事も急な対応も全ては介護職の特徴ですが、販売目標や顧客に嫌われがちという点は営業職の特徴です。

辞めたいと思ったとき、考えるべきことはただひとつでしょう。

「携わりたいのは営業? 介護? それ以外の職種?」

営業に携わりたいという人は他業界の営業職で、自分の興味が向く商材などを探せば良いでしょう。

介護に携わりたい・営業が向いていないと思うという人は、介護業界で転職先を探すことになります。

それ以外の職種に転職したいという人は、自分の興味がある分野や間接的に経験を活かせる職種を狙っていきたいですね。

要は、上記の問いに答えるだけで転職の方向性が決まるということです。

オススメの転職先は?

僕は介護業界に特別詳しいわけではないのですが、僕は営業の仕事をしています。そこで、営業の仕事への転職に焦点を当ててアドバイスをしましょう。

福祉用具の営業職からの転職なら、正直「興味があるところに飛び込むのが一番」です。

ただ、特にそういう業界が無いという人のために、僕から「こういう業界は避けたほうがいいかもしれないよ」というのを紹介します。

  • OA機器、プリンター
  • 不動産
  • 保険
  • 証券

OA機器やプリンターの営業を避けたほうがいい理由は、福祉用具と同じく売るのが非常に困難だからです。OA機器・プリンターを営業から購入しようなんていう会社は、近年なかなかありません。

新規にできた会社を狙うのが一番ですが、雨後のたけのこみたいにニョキニョキ会社ができた時代は終わりましたよね。

今や、この業界の営業職に就く理由が無いんです。

また、不動産・保険・証券はかなり人を選びます。

「海賊王に俺はなる!」「目指せ! 2000万プレイヤー!」というような、ギラギラとした野望を持った人にしかオススメできません。売り上げれば2000万プレイヤー、売り上げれなければ崖っぷちの生活が待ってますからね。

ギャンブル性が高く、目標意識がハッキリしていなければ続けられません。

以上の四つだけ避ければ、基本的にどの業界でも良いと思います。

後は個人の適正次第なので、僕からはなんとも言えません。

介護業界に転職する場合も、事務などの異職種に転職する場合も、適正を判断しなければいけません。

そういった「個人の適正」を見極めるには、転職エージェントを使うのがベストです。

担当キャリアコンサルタントが「あなたにはこれが向いていそうですよ」と、色々な転職先候補を提示してくれますよ。

辞めたいなら、辞めていい

結局「辞める前提」で話を進めましたが、そうなんです。

福祉用具の営業は、特別悪い点というのが無いんですよ。これまで「辛い部分」として福祉用具の営業の特徴を語ってきましたが、それも結局は「合うか合わないか」ですよね。販売目標は特別厳しくなく、介護にかかわるから力仕事や急な対応は仕方がない。

それを仕方が無いと割り切ることができなかったり、それらの特徴に合わないから「辛い」と感じるだけなんです。え? ケアマネや介護職の人たちに嫌われるのが辛い? それは…営業をしてたら顧客から良く思われないこともあるさ、仕方が無い。

それを「仕方が無い」と思えないなら、営業自体に向いてない。だから別の職種に飛び込んでみるのも良いと思う。ただそれだけのこと。

特別悪いところが無い分、特別良いところもないんですよ。特別年収が高いとか、残業が無いとか、この仕事にしがみつく理由は何も無い。

だから、辞めたいなら、辞めてもいい。転職活動を始めておいたほうがいいと思いますよ!