フレックスタイムは、諸刃の剣。

決められた労働時間の中なら労働者が自分で出社・退社時間を決めることができるという、労働者側にメリットが大きいように見える労働形態。朝起きれない人なんかには、とてもありがたい制度ですよねえ。

フレックスタイム自体にはメリットも多いんですが、それを悪用する企業が多い!

「残業代? 出ないよ。フレックスだから」

最初に言っておきます。「いや、その理屈はおかしい」と。

フレックスタイムとは何かを改めて整理しておこう

フレックスタイムと残業に関して語る前に、フレックスタイムの概要を改めて整理しておきたいと思います。これから語ることの大前提になるので、「わかってるよ」という人もそう言わず読んでいってくださいな。

フレックスタイムは、コアタイムとフレキシブルタイムとの二つで構成されています。コアタイムという出勤が義務付けられた時間の前後に、任意で出勤・退勤可能なフレキシブルタイムが存在するのがフレックスタイムですよね。

フレックスタイム制を導入するメリットというのは、業務効率アップと残業時間の削減です。

似た考え方の労働制に裁量労働制がありますが、それは従業員が実際勤務した時間に関係なく「これだけ働いた」とみなすというものです。

フレックスタイムはそれとは異なり、毎日タイムカードなどで労働時間を把握・計算しないといけません。その計算は1日単位ではなくて、清算期間で行います。給与締め日などに1ヶ月の労働時間を計算して、1ヶ月の所定・法定労働時間を超えた部分が残業時間となるんです。

フレックスタイム制の法定労働時間というのは、週に40時間または月に〇〇時間というもの。この〇〇の数値は、一か月が何日あるかによって変動します。たとえば30日なら171.4時間以内、31日なら177.1時間以内となっているんです。

毎日残業時間を計算しないためややこしくなっているんですが、残業時間の概念はちゃんとあります。

フレックス制でも残業代は出さなきゃいけないよ

フレックスタイム制に関しては残業時間の算出が少しややこしいので、誤解している経営者も少なくありません。

残業という概念はあるし、残業代は支払わなきゃいけないものなんです!

清算期間で総労働時間を超えて働いていたのなら、残業代は出ます。月の日数が30日ある月に180時間労働していた場合、8.6時間分の残業代が発生するんですよ。そして、これを翌月に持ち越して相殺することは不可能です。

だから、何がなんでも! 残業代は出るものなんだ!

そもそもフレックスタイム制の導入は「残業代の削減」が目的ではないはずです。個々人が働きやすい時間に働くことで、業務効率を向上して残業が減る。果てに残業代が削減できるかもしれないというものなんですよね。

曲解して悪用する会社が多いのは、フレックスタイム制を考えた人からすれば遺憾でしょう。

そういうわけで…フレックス制で残業代が出ない状況の人!!

泣き寝入りしちゃ、いけませんよ。

転職をオススメ! 最初に考えるひとつのこと

フレックスタイム制を導入している会社で、残業代が出ない状況に置かれている人には転職をオススメします。効率を上げるための制度を悪用している会社は、恐らくフレックスタイムを会社に都合の良い制度でしかないと思っているのではないでしょうか。

業務効率アップなど、みじんも考えてないと思います。誤解していたり、よくわかっていない可能性もありますが、その場合は経営者としてあまりに未熟。そんな人についていく意味はないので、どのみち転職すべきですよ。

ただ、そこでまず考えなきゃいけないことがあります。

次の職場もフレックスタイム制を導入している職場にするか?

フレックスタイム制を導入している職場を自分から選んだのであれば、次も懲りずにフレックス制にするのも悪くはありません。

業務効率アップや残業の削減ということを考えると、フレックスタイムはやっぱり良い制度ですからね。働く側としても、本来は魅力とメリットがたっぷりあるはずです。

要は「悪用しているような会社」を避ければいいわけですよ。

転職エージェントや社員口コミサイトを使えば、そういう会社を避けることができます。フレックスタイム制で残業代がしっかり支払われる会社であることを、担当キャリアコンサルタントに確かめて、その後口コミサイトで調べればリスク回避は万全です。

ただ、自分から選んでフレックスタイム制にしたわけではないのなら、フレックスタイム自体を避けるのもアリでしょう。

その場合フレックスタイムかどうかは関係なく、「残業代が出ない会社」を転職エージェントなどを使って避けることになりますね。フレックスタイムにこだわるよりは、職場選びが楽でしょう。

しかし、どちらの道を選ぶにしても「今フレックスタイムを導入している会社が、数年後もそうとは限らない」ことは覚悟しておかないといけません。

個人的には「フレックスタイム」を重視した転職活動よりも、残業時間の短さを重視した転職活動を行った方が賢明だと思います。

フレックスタイムの今後を考えてみる

最後に、フレックスタイム制の今後を考えてみたいと思います。

厚生労働省の就労状況総合調査結果を見ていると、フレックスタイム制を導入している企業の割合は減少傾向にあることがわかるんです。ここ数年の調査結果を見ると、大体5%前後に推移しているんですが、平成18年には6.3%だったものが平成27年には4.3%にも落ち込んでいます。

平成28年には4.6%に増えましたが、「増えた」と言って良いのか迷いますね。今後持ち直すかは微妙なところです。

人気のある制度ですが、フレックスタイム制を導入する企業は今後も少しずつ減っていくのではないでしょうか。

また、この制度を導入している会社は従業員数が1000人以上であることが多いです。フレックスタイム制を導入している企業を探すとなると、事業規模が大きく部署数の多い企業を探すことになります。

転職の際に「フレックスタイム」を重視して職場選びをすると事業規模の小さい企業は除外されることになりますし、選べる求人の幅も大幅に減るでしょう。

フレックスタイムを重視して職場選びをしたところで、今後もフレックスタイムが続くとは限らないわけです。それなら、敢えてフレックスタイムを重視して職場を選ぶ必要はありませんよね。

それより、残業代が出る会社を第一条件として探す方が幅も広くて良いはずです。

僕は残業代が短い会社は残業代が出ることが多いと実感しているので、個人的にオススメなのはやはり「残業時間が短い職場」ですね。

ただ、これを鵜呑みにせず一つの意見として受け止めてください。

その上で自分自身がどうすべきなのかを、じっくりと考えましょう。