「ニートはアルバイトから始めたほうが良いのか」ということは、元ニートの人や社会復帰を応援している人たちの間で交わされ続けている論争です。
ネットを見ているとニートのアルバイト賛成派の方が目立ちますが、実際には反対派も大勢います。元ニートの人が反対派に回っていることが多いのが、気になるところなんですよね。
そんな「ニートはアルバイトから始めたほうが良いのか」という問いに対し、賛成派と反対派の意見両方をまとめたうえで、僕の持論を語ってみたいと思います。
「ニートはアルバイトから」賛成派の意見
1.働くことに慣れるため
ニートはアルバイトから始めた方が良いという人の意見で、圧倒的多数を占めるのが「働くことに慣れるため」というものです。
これには、さまざまな意味が含まれていると思います。
まず、ニート生活と働いている人の生活とではまるでパターンが異なるということです。
ニートはいつまで起きていようが、いつまで寝ていようが自由。実家にいれば同居している親兄弟がそれをとがめるかもしれないけれど、逆らったからと言って罰則があるわけではないでしょう。
一人暮らしでニートをしている人は、あなたをとがめるものはありません。
だけど、働く人は翌日のために早めに寝ないといけないことが多いし、起きる時間も仕事に遅刻しないようにしないといけない。もしも遅れたら、上司に先輩に同僚にとみんながあなたをとがめます。
いきなり正社員としてカッチリとした生活スタイルにするのはハードルが高いため、シフトなどで融通が利くアルバイトから始めて、「仕事をするための生活パターン」を身につけようという話です。
また、働くことの大変さを頭ではわかっていたとしても、実際に働くと想像以上に大変なんですよ。
その大変さを身をもって体験しておくことで、正社員になったときに心構えができるという目的もあります。
ほかには、「正社員として就職したい仕事にアルバイトから始めて慣れておく」という意味もあるでしょう。
正社員の仕事とアルバイトの仕事とは細かい部分は違ってくるけれど、似た部分も大きいですからね。
以上のように「働くことに慣れる」というのはそれ自体もそうだし、働くことによるさまざまな影響に慣れておくということでもあるんです。
生活が大きく変わるのだから、その前に準備しておこうというのはかなり合理的な意見に感じます。
2.自己肯定感を得るため
ニートには、自己肯定感を得る機会が滅多にありません。
ネットで「自分なんか」と卑下しているニートを大勢見かけるように、心の根っこの部分では自分に対して劣等感を抱いている人が多いと思います。それは僕たちサラリーマンもそうだけれど、サラリーマンには「仕事の成果」による自己肯定感があるし、「周りと同じように働いている」という納得感もある。
ニートには、それがないわけです。
そんな自己肯定感が満足に得られない状況から就職活動をしたとしても、「面接でうまく自分の良さを語れない」「働くことの恐怖が働きたい気持ちを上回る」などの不都合が生まれる可能性があります。
だから、アルバイトとして働くことで、人から感謝されたり褒められたりという体験を積み、自己肯定感を養おうというわけですね。
3.正社員として登用される道がある
アルバイト求人の中には、「正社員登用アリ」というものがあります。
アルバイトとして一定期間働き、なおかつ職場の責任者の目に留まる働きをした人に「正社員にならないか」と声をかけるわけです。そのためには試験を課している会社もあるし、試験なしで承認されれば正社員になれるという会社もあります。
ただし、これに関しては僕は言いたいことがあるんです。
アルバイトの正社員登用は、かなり難しいんですよ。
そもそも正社員登用アリと求人に書いているのに、実際は正社員登用なんて全然行われた例が無いという職場がたくさんあります。とりあえず、たくさんの応募者に来て欲しいから正社員登用という餌をぶらさげているだけなんですよね。
それに、正社員登用を行っているとしても、誰にでもチャンスがあるわけではありません。
しっかりとした成果を残さないといけないわけです。
アルバイトの正社員登用というのは、応募者を多数確保するための餌というだけじゃなく、「バイトの尻を叩いてしっかり働かせるための餌」ということでもあるのではないでしょうか。
正社員登用目当てにアルバイトから脱ニートを始めるというのは、僕としては懐疑的です。
4.幅広い選択肢の中から仕事を選べる
ニートから重い腰を上げて働き始めるなら、スタートダッシュが肝心。
すぐに辞めてしまうことがないように、できるだけ自分に合っていそうな仕事を見つけたいところです。そのためには、職種や業界の選択肢は多いほうがいいですよね?
実は、アルバイトの求人は、よく見かけるような飲食やサービス業ばかりではなく、デザインの仕事や通訳、機械の点検といった専門性が強い仕事も結構多いんです。
つまり、アルバイトから始める場合、「現段階では正社員として就職するのはハードルが高そうな仕事」も選択肢に入れることができるというわけです。天職に出会える可能性が高まりそうですね。
5.休みやすい
体調不良やメンタル的な都合などで、突発的に働くのが難しくなるときがありますよね。
特にニート上がりの人なら、働くことの精神的負荷が大きくかかるため、メンタル的に「今日はもう無理だ」という日があるでしょう。そこで無理をして働き続けてパンクをしてしまうと、またニートに逆戻りする可能性があるわけです。
そして、正社員ならそういうときに「辞める」という選択肢を取ってしまう人もいるのではないでしょうか。
だけど、アルバイトなら連絡を入れれば休めるし、連休も取れます。それでも回復しないときにはシフトを減らしてもらうという選択肢もあるわけです。
「ニートはアルバイトから」反対派の意見
1.アルバイト生活になじんでしまう
賛成派の意見として「働くことに慣れる」というのを紹介しました。
それが裏目に出る可能性があるんです。
それは、アルバイト生活に、なじんでしまうこと。
人たちはなんでも簡単に習慣にする割には、その習慣が長くなるとなかなか変えられないんですよね。
僕は起き掛けにはコーヒーと長年決めていたんだけど、白湯を飲む習慣を付けようとしたことがあるんです。最初の1週間は凄く辛かったんだけれど、2週間経てば完全に「起き掛けに白湯」が習慣化していました。
そこからコーヒーに戻そうとすると、また辛いんですよね。
これと同じで、アルバイトに馴染むことで、ニートから正社員になるのと同じくらいの精神的負荷をかけることになる可能性があるわけです。
2.バイトと正社員とでは感覚が違いすぎる
アルバイトと正社員とでは、感覚がまるで違う。
働く人の生活習慣ということにしてみても、アルバイトはシフトで時間の融通が利いて「今日は昼から、明日は夕方から」ということが可能だけど、正社員は毎朝同じ時間に起きなければならないわけです。
仕事内容が似ていると言っても、正社員にはバイトよりも大きな責任があるし、バイトの教育をしなきゃいけなかったり、社員しか扱えない案件があったりします。
この意見の肝は、働くことに慣れると言っても、感覚が違うのだからそれは慣れたことにはならないのでは? ということでしょうね。
3.使い物にならないとクビになる
アルバイトだと、能力が低い人に対して会社は長い目で向き合ってくれません。
多少の教育は最初にあるけれど、それだけで現場に放り出されます。その後、能力が低い人やキャリアを積みたい人に対するフォローアップ研修などはありません。
それなのに会社は多くの成果を求めてくるから、能力が低い人をすぐ「使えない」と判断します。
また、体調不良やメンタル不調で休みが続いたり、シフトがあまりに減ったりすることでも「使い物にならない」と判断するわけです。
そして、しっかり研修を行って高い給料やボーナスを出している正社員と違い、採用と教育にあまりお金をかけていないからか、会社は使えないと判断したアルバイトを使い捨てにすることがあります。
4.バイトでの成長には限界がある
ニートの中でも特に、一度も正社員として働いたことがない人にとって不足しているのは、社会人としての基本マナーです。
これを得ようとしてアルバイトから始める人もいると思うけれど、社会人のマナーなんてバイトじゃ教わらないということが多いという反対意見があります。
確かに、コンビニバイトで教わるのは接客の掟みたいなものと、その店での立ち回り方くらいのものです。
飲食店で働いても、その店での接客方法や客の傾向などは教わるけれど、ビジネスマン的な考え方は教わりません。
ルールは教わっても、マナーや考え方は教わらないのがアルバイトの場だというのは確かにそうなんですよね。
ちなみに僕は「賛成派」
ここまで、ニートはアルバイトから始めるべきかという問いに対する意見を賛否両論紹介してきました。
ただ、実際はその人の状況次第なところが大きいし、その人が何を理由にしてアルバイトから始めるのかということにもよるから、どちらの意見が正しいとは一概には言えません。
だけど、アルバイトをすることは職歴や経験という点においてマイナスになることはないわけです。
だから、どちらかと言えば僕は賛成派です。
しかし、反対意見にあったように「バイトが習慣化して抜け出せなくなる」可能性は否定できません。
そこで、アルバイトとして落ち着いてしまわないように、正社員への転職活動をアルバイトと同時に始めておくのがベストだと思います。
転職活動を始めたとしても、ニートから正社員になるには時間がかかります。
なるべく自分に合う仕事を選びたいし、自分に合う働き方をできる求人を選びたいですからね。そうなるとたくさん応募して、たくさん落とされなきゃいけないので、最低でも3カ月はかかるでしょう。
正社員として内定が得られる頃には、もう働くということにも慣れているだろうし、アルバイトという段階を経るメリットは得られていると思います。
そして、内定がアルバイト生活を脱する救いの手になるわけです。
安心して、アルバイトと転職活動の両立を進めましょう。
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